「鏡を見るたびに、口元が下がって見える」
「フェイスラインがぼやけてきた」
そんな変化を感じ始める方は、40代・50代を中心に少なくありません。
特にマリオネットライン(口角から顎に伸びるたるみジワ)は、表情を疲れて見せたり、実年齢より老けた印象を与えたりすることがあります。
「マリオネットラインにはどんな種類のヒアルロン酸を使うの?」
「気になる線へ注入すれば、それで改善するの?」
こうした疑問へ向けて、形成外科専門医の症例をもとに、マリオネットラインに用いられるヒアルロン酸の種類や使い分け、治療の考え方を解説します。
今回ご紹介する患者様は、マリオネットラインだけでなく、フェイスライン全体や口元のもたつきを気にされていた50代女性です。マリオネットラインへの注入だけでなく、支える部位への治療も必要だった理由を症例を通してご覧ください。
マリオネットラインにはどんな種類のヒアルロン酸が使われる?
マリオネットラインの治療というと、気になる線にヒアルロン酸を注入するだけというシンプルな治療をイメージする方が多いのではないでしょうか。
しかし実際には、使用する製剤は一種類ではありません。溝の深さや皮膚の状態、たるみの程度、そして、ボリュームをしっかり足したいのか、表面の細かいシワをなじませたいのかといった治療の目的によって、選ばれる製剤は変わってきます。
ヒアルロン酸製剤には硬めのものから柔らかいものまで種類があり、注入する部位や深さによって使い分けが必要になります。
このように、同じ「マリオネットライン」の悩みでも、溝の深さや皮膚の状態によって適した製剤は異なります。
次章では、実際の症例をもとに、どのような診断と治療計画で製剤が選ばれたのかを詳しくご紹介します。
今回の症例|フェイスラインと口元のたるみがお悩みの50代女性
今回ご紹介するのは、50代女性の症例です。
フェイスラインのたるみ、口元のもたつき、マリオネットラインが気になっており、特に右側のたるみがやや強く出ていました。
顔の下半分が重たく感じられ、輪郭がぼんやり見えることも、お悩みの一つだったと言います。
過去にはチークトップやこめかみへのヒアルロン酸治療、ボツリヌストキシン(BTX)治療の経験もお持ちでした。
ご来院当初に検討されていたのは、肌育治療であるジャルプロスーパーハイドロでしたが、肌質改善だけでなく、より分かりやすいリフトアップ効果も求めていらっしゃいました。
今回の主訴は「マリオネットライン」の一点だけではなく、フェイスラインから口元にかけてのたるみであった点がポイントです。
診察で提案した3つのたるみ治療プラン
診察の結果、今回の患者様には主に3つの治療プランをご提案しました。それぞれアプローチが異なるため、どのようなたるみに適した治療なのかを順に解説します。
これら3つの治療は、どれか一つが一律に優れているというものではありません。皮膚のゆるみの程度や脂肪量、骨格、リガメントの状態、希望する変化、ダウンタイムなど、複数の要素を踏まえたうえで、適した治療を選択することが大切です。
3つの治療プランから今回はヒアルロン酸リフトを選択
なぜマリオネットラインへ直接注入するだけではなかったのか
マリオネットラインが気になる場合でも、原因が口元の溝だけとは限りません。頬や口元の組織が下がっていたり、リガメントにゆるみが生じていたり、あるいはフェイスライン全体がたるんでいたりと、いくつもの要因が重なっているケースもあります。
このような状態で、溝の部分だけに多くのヒアルロン酸を注入すると、組織そのものは下がったままなので、かえって下顔面全体が重たく見えてしまう可能性があります。
そこで今回はまず、こめかみ、耳前部、顎周囲といった支持部位を補強しました。外側から顔全体を引き上げるようにして、いわば土台を整えたのです。そのうえでフェイスラインの輪郭を整え、残るマリオネットラインへ必要な量のみを注入しています。
つまり今回の症例は、マリオネットラインを単独で埋めた治療ではなく、フェイスラインから口元までを一体として捉え、計画的に治療を進めたケースといえるでしょう。
施術内容
今回使用した製剤は以下の2つです。注入部位と注入量についても詳しく説明します。
施術後の変化|フェイスラインから口元までの印象を確認
ヒアルロン酸リフトの施術例(リフトリド2本・ディファイン2本)
施術、料金、期間・回数、リスク(副作用)
| 施術 |
ヒアルロン酸でこめかみや頬外側の靭帯(リガメント)を補強し、たるみを改善してお顔をリフトアップする施術です。また、ほうれい線などのシワや、クマ等気になる部分には直接ヒアルロン酸を注入し、ふっくらと持ち上げることで影や凹みのない明るい印象を与えます。 |
| 料金 |
308,000円(レスチレン®リフトリド2本・レスチレン®ディファイン2本) |
| 期間・回数 |
1回・30分ほど |
リスク (副作用) |
針を刺した部分や注入部分に赤みや腫れが、1~7日程度生じることがあります。 |
※注意事項:治療の結果には個人差があります。
フェイスラインやマリオネットラインが気になる方へ
まとめ
今回ご紹介したのは、フェイスラインや口元のたるみ、マリオネットラインを気にされていた50代女性のヒアルロン酸リフト症例です。
患者様は当初ジャルプロスーパーハイドロを検討されていましたが、診察の結果、リガメントのゆるみや組織の下垂がたるみに影響していると考えられました。そこで①モフィウス8・デンシティ、②ヒアルロン酸リフト、③糸リフトという3つの治療プランをご提案し、その中からヒアルロン酸リフトを選択しています。耳前部やこめかみ、顎周囲などの支持部位を補強しながらフェイスラインから口元までのバランスを整え、自然なリフトアップを目指しました。
口元のたるみやマリオネットラインは、気になる部分だけを治療するのではなく、顔全体の状態を診断することが重要です。
骨格や皮膚、脂肪、リガメント、治療歴などを総合的に評価し、患者様一人ひとりに適した治療方法を選択することが、自然な仕上がりにつながります。
フェイスライン・口元のたるみを相談する
解剖学を熟知した医師が患者様一人ひとりに適した治療をご提案します。
井畑医師の解説
施術後は、フェイスラインのもたつきがやわらぎ、輪郭にすっきりとした印象が見られます。
特にたるみがやや強かった右側については、口横のもたつきが軽減し、左右のバランスが整った印象です。
口元はマリオネットラインの見え方が変化し、口角周囲の下がった印象もやわらいでいます。
頬からフェイスラインにかけて自然な丸みが加わりながらも、不自然なボリューム感が出ないよう必要な範囲での注入にとどめている点も特徴です。
フェイスラインから口元にかけての輪郭が一体としてつながって見えることで、顔全体としてすっきりとした自然なリフトアップの印象に近づいています。
なお、変化の見え方には撮影角度や照明による差、個人差もあるため、効果を過度に断定するものではありません。