顔の皮脂を抑える薬「イソトレチノイン」とは?効果や向いている人について解説
この記事でわかること
「いつも顔がテカってしまう」「皮脂が多くてメイクがすぐに崩れる」そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
皮脂の分泌が多いオイリー肌(脂性肌)の改善方法として、イソトレチノインが注目されています。
イソトレチノインは皮脂腺を縮小する作用のある内服薬で、重度のニキビにも効果を発揮します。
本記事では、顔の皮脂が気になる方に向けて、イソトレチノインの効果や向いている人、さらに注意点やリスク・副作用ついても詳しく紹介します。
目次
顔の皮脂を抑える薬「イソトレチノイン」とは?
イソトレチノインは、ビタミンA(レチノール)誘導体から作られた内服薬です。
医学的には「レチノイド」に分類され、皮脂腺に作用して過剰な皮脂分泌を抑える働きがあります。
美容皮膚科では、重症のニキビや繰り返しできるニキビの治療薬として長く使用されてきました。
近年では、オイリー肌や毛穴の開きの改善にも注目が高まっています。
一般的なスキンケアでは、肌表面に出た皮脂を洗顔などで取り除くことしかできません。
一方でイソトレチノインは、皮脂を作る「皮脂腺」を縮小することで、皮脂分泌そのものを減らす作用が期待できます。
まずは、イソトレチノインの効果について詳しく見ていきましょう。
イソトレチノインの期待できる効果
イソトレチノインはどのような効果が期待できるのでしょうか。
ここでは以下のポイントに分けて解説します。
- 皮脂を抑える
- 毛穴詰まりの改善
- 毛穴の角化異常を整える
- アクネ菌の増殖を抑える

皮脂分泌を抑える
イソトレチノインの代表的な作用は、皮脂腺の縮小によって皮脂分泌を抑えることです。
皮膚には毛穴の近くに「皮脂腺」と呼ばれる器官があり、そこから皮脂が分泌されています。
皮脂は本来、肌のうるおいを保つために必要な成分です。
しかし、皮脂の分泌量が多くなると、毛穴詰まりやニキビの原因につながります。
イソトレチノインは皮脂腺そのものに働きかけるため、顔のテカリやベタつきの軽減が期待できます。
洗顔や皮脂取りシートのように、肌表面の皮脂を取り除くケアとは異なり、皮脂が作られる仕組みにアプローチできる点が大きな特徴です。
毛穴詰まりの改善
イソトレチノインには皮膚のターンオーバーを整える働きもあるため、古い角質が毛穴の中に溜まりにくい状態へと導きます。
これにより、白ニキビや黒ずみ毛穴の原因となる「角栓」の形成が抑えられ、毛穴トラブルの改善に高い効果を発揮します。
治療開始から数週間は、それまで毛穴の奥に溜まっていた角栓が表面に排出される「好転反応」が一時的に見られますが、これは皮膚が正常に戻ろうとしているサインです。
一時的な反応であるため、過度に心配する必要はありません。
毛穴の角化異常を整える
健康な肌は、毛穴の壁を構成する角質が一定のサイクルで生まれ変わります。
しかし、ニキビができやすい肌や皮脂分泌が多い肌は、毛穴の入り口付近の角質が過剰に増えたり硬くなったりする「角化異常」が起こりやすいといわれています。
角化異常が起こると毛穴が塞がれるため、皮脂や角質が毛穴に詰まり、ニキビや黒ずみにつながるケースも少なくありません。
イソトレチノインは角質細胞の働きに作用し、乱れた角化のサイクルを整える働きがあります。
硬くなった角質はセルフケアだけでの改善が難しいので、早めに医師へ相談することが大切です。
アクネ菌の増殖を抑える
ニキビの原因菌であるアクネ菌は、皮脂を栄養源として増殖するのが特徴です。
特に、皮脂に含まれるトリグリセリドを分解してエネルギーを得ています。
イソトレチノインによって皮脂の分泌量が減少すると、アクネ菌の栄養源が少なくなり、菌が増えにくい肌環境へと変化します。
抗生物質のように菌を直接殺菌する薬ではありませんが、アクネ菌が増えやすい環境そのものにアプローチできる点が特徴です。
そのため、抗菌薬で問題となる耐性菌のリスクが比較的少ないとされています。
抗炎症・抗酸化作用
イソトレチノインは、抗炎症作用や抗酸化作用も期待できる治療薬です。
皮脂は空気に触れると酸化し、炎症の原因となる過酸化脂質へと変化することがあります。
イソトレチノインは皮脂の酸化を抑える働きがあり、炎症が広がるのを抑える効果も期待されています。
また、免疫反応のバランスを整え、アクネ菌に対する過剰な炎症反応を抑えることで、赤みを伴う炎症性ニキビの改善にもつながります。
イソトレチノインが向いている人
イソトレチノインは重度のニキビや過剰な皮脂に悩む方に向いている治療です。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ニキビを繰り返している人
イソトレチノインは、抗生物質の内服や外用薬を試しても改善せず、何度もニキビを繰り返す「難治性ニキビ」の治療にも改善が期待できます。
難治性ニキビの背景には、皮脂分泌の過剰・毛穴の角化異常・アクネ菌の増殖など、複数の要因が関係しているケースも少なくありません。
そのため、一般的な治療では十分な改善がみられない方も多いでしょう。
イソトレチノインはこれら複数の要因に同時にアプローチできるため、他の治療で変化を実感しにくかった方にも効果を発揮します。
オイリー肌でテカリやすい人
イソトレチノインは皮脂腺の働きが活発で、昼間になると顔全体のテカリやベタつきが気になる脂性肌(オイリー肌)の方にも効果が期待できます。
皮脂分泌が抑えられることで、テカリやベタつきの軽減ができるでしょう。
服用を継続することで、メイク崩れが減るといった変化を実感する方も多くいます。
皮脂量は遺伝の影響を受けやすいため、スキンケアだけでは改善が難しいケースも少なくありません。
悪化すると難治性ニキビにつながる可能性もあるので、症状が強い場合は治療を検討しましょう。
毛穴の開きが気になる人
イソトレチノインは、開いた毛穴の改善にも効果を発揮します。
皮脂の過剰分泌が長期間続くと皮脂が溜まり、毛穴が押し広げられて開いて見えることがあります。
皮脂の分泌がコントロールされると、こうした毛穴の開きも目立たなくなるでしょう。
角化異常が整うと毛穴詰まりの改善にもつながるため、黒ずみ毛穴や苺鼻の解消にも効果的です。
イソトレチノインの治療方法
イソトレチノインは経口で服用する内服薬です。
手軽に服用できる一方で、用量や治療期間を守らないと十分な効果が得られない可能性があります。
治療を開始する前に確認しておきましょう。
1日1〜2回に分けて内服する
イソトレチノインは、1日1回または2回に分けて内服するのが一般的です。
多くのクリニックでは、1日1錠(20mg)程度から開始し、副作用の有無や体重などを考慮しながら用量を調整していきます。
体重1kgあたり0.5〜1.0mg/日を基準に投与されることも多いですが、日本では副作用への配慮から1日10〜20mg程度の低用量から開始するケースも少なくありませんが、効果が物足りないときは容量を増やす必要があります。。
また、治療では「累積投与量(体重1kgあたり120mg以上)」がひとつの目安とされています。
この基準に達すると、ニキビの再発リスクが低下するといった報告も挙げられています。
治療期間は6ヶ月が目安
イソトレチノインの標準的な治療期間は、6ヶ月(24週間)です。
一般的には治療開始から1〜2ヶ月ほどで変化が現れ、4〜6ヶ月でニキビの改善を実感できます。
ただし、皮脂量が多い方やニキビの重症度が高い場合は、治療期間が延長されることもあります。
その際は自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従うようにしましょう。
また、一定の効果が得られた後も、再発予防として1〜2ヶ月ほど服用を継続するケースもあります。
定期的に医師の診察を受ける
イソトレチノインは効果が高い一方で、体への負担が生じる可能性のある薬です。
治療中は定期的に医師の診察を受け、効果と副作用の両面を確認しながら治療を進めることが大切です。多くのクリニックでは、治療開始前・1ヶ月後・3ヶ月後などに血液検査を行い、肝機能値や脂質(中性脂肪・コレステロール)の変化を確認します。
数値に異常がみられた場合は、医師が用量の調整や休薬などを判断して治療を進めます。
イソトレチノインの注意点と副作用
イソトレチノインは高い効果が期待できる一方で、重篤な副作用につながるケースもあります。
ここでは注意点や副作用の一部を紹介しますが、治療開始前には必ず医師の説明を受けましょう。

妊娠中・授乳中の人は服用できない
イソトレチノインの重要な副作用の一つが催奇形性(さいきけいせい)です。
服用中に妊娠すると、胎児の心臓・頭頸部・脳などに先天性異常を引き起こす可能性が高く、流産や早産のリスクも報告されています。
そのため、妊娠中・授乳中の方や、近いうちに妊娠を希望している方は使用できません。
女性は服用開始の1ヶ月前から服用中、さらに服用終了後もしばらくの間は確実な避妊が必須です。
男性も精液を介した影響が完全に否定できないため、服用終了後一定期間は避妊が推奨されています[1]。
皮膚や粘膜の乾燥が生じやすい
イソトレチノインは皮脂を抑制するため、普段より皮膚や粘膜の乾燥が起こりやすくなります。
主な症状として、次のようなものがあります。
- 唇のひび割れ・皮むけ
- 顔や体の皮膚の乾燥・かゆみ
- 目の乾燥(ドライアイ)
- 鼻の粘膜の乾燥による鼻血
- 鼻や口腔内の粘膜トラブル
乾燥は治療開始から1ヶ月以内に現れることが多く、保湿剤やリップクリームを使用して対処します。
また、初期症状として一時的にニキビが悪化するケースもありますが、多くの場合は1〜2ヶ月ほどで落ち着きます。
この時期に自己判断で治療を中断すると十分な効果が得られないため、医師の指示に従って服用を続けることが大切です。
定期的な血液検査が必要
イソトレチノインは、まれに肝機能の低下や脂質異常(中性脂肪・コレステロール値の上昇)を引き起こす可能性があります。
自覚症状が出にくいため、定期的な血液検査による数値の確認が欠かせません。
一般的には、治療前・1ヶ月後・3ヶ月後などのタイミングで血液検査を行います。
検査で異常値がみられた場合は、医師の判断で用量の調整や休薬、中止などが検討されます。
治療後に皮脂が増えたように感じることも
イソトレチノインの治療後、一時的に皮脂が増えたように感じる方も少なくありません。
服用を終えると抑えられていた皮脂腺が回復するため、しばらくは皮脂分泌が増えたように感じます。
特に低用量・短期間で治療を終えたケースに多く、実際に皮脂量が戻っているケースもあります。
投与量が少ないと再発する可能性も高くなるので、医師の指示に従い治療期間を完了しましょう。
イソトレチノインの効果を高める方法
イソトレチノインの効果を高めるには、毎日のケアや生活習慣の見直しが欠かせません。
ここでは服用のタイミングも含めて詳しく解説します。
食事の直後に服用する
イソトレチノインは脂溶性の薬で、食直後に服用すると吸収率が高まるとされています。
毎日決まった食事の後(昼食後や夕食後など)に服用する習慣をつけると、薬の血中濃度が安定し、効果を得やすくなるでしょう。
空腹時に服用すると吸収率が低下する可能性があるため、服用のタイミングには注意が必要です。
保湿ケアをしっかり行う
皮脂が減少すると肌の油分バランスが変化し、いつもより肌の乾燥が目立ちます。
乾燥が続くと肌荒れや炎症を悪化につながるため、治療中は積極的な保湿ケアが欠かせません。
具体的には、以下のポイントを意識しましょう。
- セラミドやヒアルロン酸を配合した低刺激のスキンケアを使用する
- 唇にはワセリンやリップバームをこまめに塗る
- 目の乾燥がある場合は、医師に相談して目薬を使用する
- 洗顔はぬるま湯で、十分に泡立ててやさしく行い、摩擦をできるだけ避ける
スキンケア製品は「ノンコメドジェニックテスト済み」と表示されたものを選ぶと、毛穴詰まりのリスクを抑えられます。
どの製品を選べばよいか迷った場合は、診察時に医師へ相談してみましょう。
生活習慣を整える
イソトレチノインの効果を高め、再発を防ぐためには生活習慣の見直しも大切です。
脂質や糖質の過剰摂取はホルモンバランスを乱し、皮脂分泌を促進する可能性があります。
特に、揚げ物や甘い菓子、ジャンクフードなどには注意が必要です。
一方で、皮脂代謝をサポートするビタミンB2・B6を含む食品(乳製品・卵・豆類・緑黄色野菜など)は積極的に取り入れましょう。
また、十分な睡眠やストレス管理も、肌の状態を整えるうえで欠かせません。
睡眠不足やストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂分泌が増える原因につながります。
規則正しい生活リズムを意識することで、治療の効果も実感しやすくなるでしょう。
自己判断で服用量を変えない
イソトレチノインは「副作用が心配だから半分にしよう」「早く治したいから多めに飲もう」といった自己判断による用量の変更は厳禁です。
用量が少ないと累積投与量に達せず、十分な効果が得られない可能性や再発のリスクにつながります。
反対に増量した場合は、乾燥や肝機能異常といった副作用が生じることもあります。
副作用が気になる場合や効果を感じにくいときは、次の診察時に必ず医師へ相談しましょう。
イソトレチノインの治療ならPSCへ!
今回は、顔の皮脂を抑える薬として話題の「イソトレチノイン」について紹介しました。
イソトレチノインは皮脂の分泌を抑え、重度のニキビや脂性肌の改善が期待できる治療薬です。
一方で、用量や服用方法を守らないと副作用のリスクが高まる可能性もあります。
当クリニックでは、イソトレチノイン治療に加え、ニキビや皮脂に悩む方に向けて幅広い施術をご用意しています。
美容クリニックが初めての方も、ぜひお気軽にご相談ください。
参考文献・資料
[1]June Seek Choi, Gideon Koren, Irena Nulman.Pregnancy and isotretinoin therapy.2013 Mar 19;185(5):411–413. doi: 10.1503/cmaj.120729
よくあるご質問
患者様からよくいただく質問をご紹介します。
イソトレチノインは背中やデコルテのニキビにも効果がありますか?
イソトレチノインは顔だけでなく、背中やデコルテなど体にできるニキビにも効果が期待できます。
特に背中は皮脂分泌が多く再発しやすいため、治療を検討する方も少なくありません。
イソトレチノインが危険といわれる理由は?
イソトレチノインは高い効果が期待できる一方で、副作用が起こる可能性があるため「危険」といわれることがあります。
代表的な副作用には、皮膚や唇の乾燥、肝機能値の変化、脂質異常などがあります。
また、妊娠中に服用すると胎児に影響を及ぼすリスクがあるため、妊娠中の方や妊娠を希望している方は使用できません。
イソトレチノインはうつ病になりますか?
イソトレチノインとうつ症状の関連については研究が行われていますが、明確な因果関係は現在のところはっきりしていません。
ただし、気分の落ち込みや精神的な変化を感じた場合は、早めに医師へ相談することが大切です。
診療時間
[ 完全予約制 ] 10:30〜19:00
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資格
- 一般社団法人日本形成外科学会 形成外科専門医
- 特定非営利活動法人日本レーザー医学会 認定医
- 一般社団法人国際抗老化再生医療学会 正会員
- 一般社団法人 日本美容外科学会 JSAPS(Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery)正会員
- 一般社団法人日本美容皮膚科学会(Japanese Society of Aesthetic Dermatology)正会員
- 一般社団法人日本頭蓋顎顔面外科学会 正会員
- アラガン社 VST(ボトックスビスタ)認定医
- アラガン社 ヒアルロン酸バイクロスシリーズ注入認定医
- Miramar Labs社(ミラドライ開発社)ミラドライ認定医
- ジュビダームビスタ®ボリューマXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボリフトXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボルベラXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボラックスXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボライトXC認定医
- ジュビダームビスタ®ウルトラXC/ウルトラプラスXC認定医
- ボトックスビスタ認定医
- レスチレン認定医
経歴
| 平成15年 | 大阪医科大学 形成外科教室:入局 |
|---|---|
| 平成21年 | 大阪医科大学 助教(准):就任 |
| 平成24年 | 医学博士学位取得 |
| 平成25年 | 某美容クリニック:院長就任 |
| 令和5年 | プライベートスキンクリニック |
学会発表
- 第48回 日本美容外科学会総会(2025年9月25日~26日)
- 顎のヒアルロン酸注入を用いた輪郭形成-248症例の治療経験
- 第43回 日本美容皮膚科学会総会・学術大会(2025年8月16日~17日)
- POTENZA®を用いた美肌・毛穴・ニキビ治療の臨床経験
- 第42回 日本美容皮膚科学会総会(2024年8月31日~9月10日)
- PRPを用いた複合治療におけるざ瘡後瘢痕と毛穴開きの治療の当クリニックでの経験について
- 第67回 日本形成外科学会総会・学術集会(2024年4月10日~12日)
- 額(おでこ)へのヒアルロン酸注入による輪郭形成の134症例 -使用量についての経験及び検討-
- 最新型医療ハイフ(ウルトラフォーマー®MPT)の77症例における経験及び安全性についての考察










