「体重が落ちてから、なぜか顔だけ急に老けた気がする」と感じたことはないでしょうか。
ダイエットや産後の体型変化をきっかけに、頬やこめかみがこけてしまい、鏡を見るたびに以前と違う印象に戸惑う方は少なくありません。特に、こめかみがこけると頬骨まわりが相対的に張って見え、輪郭が凸凹とした「ピーナッツ顔」のような印象になることがあります。これは思い込みではなく、顔の土台となる脂肪や皮下組織のボリュームが減ることで実際に起こりうる変化のひとつです。
今回ご紹介するのは、産後の体重減少をきっかけに、こめかみや頬のコケが気になり始めた30代女性の症例です。ご本人は「気になる部分だけ、少し足したい」というご希望でしたが、診察の結果分かったのは、こめかみだけでなく顔全体にボリュームロスがあるという事実でした。単純に凹みを埋める治療ではなく、顔全体のバランスを見ながら設計した治療内容を、安形医師の診察所見とともに解説していきます。
痩せによる輪郭変化「ピーナッツ顔」をヒアルロン酸で整えた30代女性
なぜこめかみが凹むと「老け見え」するのか
今回の症例では、こめかみと頬のボリュームロスが、顔全体の印象に大きく影響していました。ここでは、こめかみの凹みがなぜ「老け見え」につながりやすいのか、3つの視点から整理していきます。
1 輪郭が「ひょうたん型」になりやすい
こめかみや頬のボリュームは、加齢のほか、体重減少や産後の体型変化によっても失われることがあります。
こめかみが凹むと輪郭の滑らかなラインが崩れ、頬骨の高さが目立つようになり、いわゆる「ピーナッツ顔」「ひょうたん型」に近い印象になることもあるでしょう。
又、凸凹感が強調されると「骨」のイメージが強くなります。「骨」感が表に出てくると、若々しいふっくら感がなくなり、より老けた印象になり易いです。
そこに頬のコケが重なることで、輪郭全体の凸凹感がさらに強調されてしまいます。今回の症例でも、こめかみだけでなく頬のボリュームロスが同時に見られました。
2 目元が疲れた印象に見えやすくなる
こめかみは、こめかみ自体だけでなく、目尻から目の周囲にかけての皮膚や組織を下から支える役割も担っているエリアです。
ここのボリュームが減ると、目尻が下がったように見えたり、目の周りにハリがなくなったように見えたりすることもあります。
目元のたるみというと目そのものの問題と思われがちですが、こめかみのボリュームロスが影響しているケースも少なくありません。
3 顔に影ができ、老けた印象につながる
こめかみや頬に凹みがあると、光の当たり方が変わり、その部分に影ができやすくなります。
影が増えると顔色が沈んで見えたり、やつれた印象につながったりすることも珍しくないでしょう。
今回の症例では、こうした影のできやすさを軽減するため、ヒアルロン酸でボリュームを補い、輪郭を滑らかに整える方法を選択しています。
このように、こめかみだけでなく頬のコケも含めた上顔面から中顔面にかけてのボリュームロスが、今回の「老け見え」の背景にあったと考えられます。
今回の症例|痩せによるボリュームロスに対して行ったヒアルロン酸治療
今回の治療では、こめかみ・頬・顎の3部位に、それぞれ異なるヒアルロン酸製剤を注入しました。使用したのは、こめかみに「ボリューマXC」、頬に「ボリフトXC」、顎に「ボラックスXC」の3種類 。いずれもアラガン社のジュビダームビスタ®シリーズに属する製剤ですが、硬さや粘性が異なり、部位によって適したタイプが変わってきます。
3部位に注入した理由は、こめかみのコケだけを埋めても、頬や顎とのバランスが取れていなければ、輪郭全体としては不自然に映ってしまう可能性があるためです。顔全体のボリュームバランスを確認したうえで注入部位を決定し、「コケを埋めるだけ」ではなく、輪郭全体を滑らかに整えることを目的としました。
もちろん、患者様がご希望されていた「自然な変化」を損なわないよう、注入量にも配慮しています。
ジュビダームビスタ® ボリューマXC
こめかみ:T1 右1cc・左1cc
こめかみは、頭蓋骨のカーブに沿ってボリュームを支える部位です。
そのため、硬さがあり支持力に優れたボリューマを選択しました。骨格そのものを支えるようなイメージで注入することで、こめかみの凹みを補いながら、滑らかな輪郭形成を目指しています。
顔の外側のラインを整えることは、自然な立体感にもつながる要素のひとつです。
ジュビダームビスタ® ボリフトXC
頬:Jw2 右1.5cc・左1.5cc
頬は表情の動きが多い部位です。
硬すぎる製剤を使うと、表情を作ったときに不自然な張りを感じることがあるため、なじみが良く柔軟性のあるボリフトを選んでいます。
頬のコケを補うことで中顔面に自然なボリュームが生まれ、こめかみから頬にかけて連続した滑らかな輪郭を目指しました。
ジュビダームビスタ® ボラックスXC
顎:1cc
顎には、アラガン社のシリーズの中でも硬さと造形力に優れたボラックスを使用しました。
顎先を整えることで、横顔のラインやフェイスライン全体のバランスが変わってきます。
こめかみ・頬だけでなく、下顔面までバランスを見て整えることで、顔全体に一体感のある仕上がりを目指しています。
今回の施術料金(税込)
使用製剤
使用本数
料金
ジュビダームビスタ®ボリューマXC
2本
121,000円
ジュビダームビスタ®ボリフトXC
3本
181,500円
ジュビダームビスタ®ボラックスXC
1本
88,000円
合計
6本
390,500円
※料金は使用本数や注入部位によって変動します。
※なお、今回ご紹介する治療は自由診療(保険適用外)であり、医療機関によって使用製剤や料金が異なります。効果や治療期間には個人差があるため、あくまで一つの症例としてご参照ください。
ヒアルロン酸製剤には、それぞれ厚生労働省の承認を得た使用目的や部位が定められていますが、実際の臨床では、解剖を熟知し、経験豊富な医師が患者様の骨格やボリュームロスの状態を診察します。その上で承認された使用目的の範囲を超えて製剤を選択・使用する場合があります(いわゆる適応外使用)。
こうした選択は医師の専門的判断に基づくものであり、施術にあたっては患者様へ事前にご説明し、同意を得たうえで実施しています。
気になる場合は、施術を受ける医療機関に使用製剤の適応について直接ご確認ください。
ビフォーアフターから分かる治療後の変化
ヒアルロン酸注射(頬・こめかみ)の施術例
施術、料金、期間・回数、リスク(副作用)
施術
こけた頬やこめかみのへこみなど、気になる部分にヒアルロン酸を注入し、ボリュームを補うことで、丸みのあるふっくらとした輪郭へ整える施術です。
術後すぐに効果を実感でき、ダウンタイムが少ないため人気の施術です。
料金
302,500円(ジュビダームビスタ®ボリューマXC 2本・ジュビダームビスタ®ボリフトXC 3本)
期間・回数
1回・40分ほど
リスク (副作用)
針を刺した部分や注入部分に、赤みや腫れが1~7日ほど出る可能性があります。
※注意事項:治療の結果には個人差があります。
こめかみヒアルロン酸のメリット
今回の症例でも触れたように、こめかみへのヒアルロン酸注入は、単に凹みを埋めることだけが目的ではありません。こめかみは顔全体の印象を左右しやすい部位であり、適切にボリュームを補うことで、輪郭や顔立ち全体のバランスを整えることにつながります。
ここでは、こめかみへの注入によって期待できる変化を、4つの観点から見ていきましょう。
① なめらかな輪郭に整い、顔全体のバランスが良くなる
こめかみが凹んでいると、頬骨との段差が目立ちやすくなり、輪郭に凸凹とした印象が生まれます。ここへヒアルロン酸でボリュームを補うことで、こめかみから頬にかけてのラインがつながり、輪郭の凸凹感が目立ちにくくなることがあります。
今回の症例のように、「ピーナッツ顔」「ひょうたん型」といった印象の改善につながる場合もあるでしょう。
② 顔全体がすっきりと見え、小顔印象につながることも
ボリュームを足す治療と聞くと、顔が大きくなってしまうのではと不安に感じる方もいるかもしれません。
しかし実際には、輪郭の凹凸が整うことで視線が一点に集中しにくくなり、かえって顔全体が引き締まって見えるケースがあります。フェイスラインの段差が目立たなくなることで、すっきりとした印象に近づくことも期待できるでしょう。
③ 目元まで明るく若々しい印象を目指しやすい
こめかみは、目尻から目の周囲にかけての組織を下から支える部位のひとつです。ここのボリュームが減ると、目元にハリがなくなったように見えたり、目尻がわずかに下がって見えたりすることがあります。こめかみのボリュームロスを補うことで目元まわりの印象が変わり、結果として顔全体が明るく若々しい印象に近づくこともあるでしょう。
④ 自然な変化を目指しやすい治療
ヒアルロン酸は、注入直後から変化を確認しやすい治療です。手術を伴う治療と比べてダウンタイムが比較的少なく、日常生活に戻りやすい点も特徴のひとつでしょう。また、注入量を部位ごとに細かく調整できるため、「少しだけ変えたい」という患者様のご希望にも対応しやすい治療です。
このように、こめかみへのヒアルロン酸注入は、凹みを埋めるためだけの治療ではありません。
輪郭・小顔印象・目元の印象・自然な仕上がりという複数の観点から、顔全体のバランスを整えるための治療のひとつとして考えられています。
一方で、「入れすぎて不自然になるのでは」「危険なのでは」といった不安を感じる方も少なくないでしょう。
ヒアルロン酸治療では、注入部位の腫れ・内出血・痛みが一定の割合で起こり得ます。
多くは軽度から中等度で、数日から数週間のうちに自然に軽快するとされていますが、まれに血管内へ製剤が入り込んで血流障害が生じる「血管塞栓」のようなリスクも報告されており、視力障害や皮膚壊死につながりかねない重篤な合併症のため注意が必要です。
「不自然になる」「顔が大きくなる」という不安についても、製剤の硬さや注入量を誤ると、そうした仕上がりにつながりかねません。
今回の症例のように、部位ごとに硬さの異なる製剤を使い分け、顔全体のバランスを診断したうえで必要な量にとどめることが、リスクを抑えながら自然な仕上がりを目指すポイントです。
製剤選択や適切な注入量は骨格やボリュームロスの程度によって一人ひとり異なるため、気になる症状がある場合は自己判断せず、施術を受けた医療機関に相談することをおすすめします。
まとめ
今回は、産後の体重減少をきっかけに、こめかみや頬のボリュームロスが生じ、「ピーナッツ顔」のような輪郭変化が見られた30代女性の症例をご紹介しました。「ピーナッツ顔」は、こめかみが凹んでいることだけが原因とは限りません。頬や顎を含めた顔全体のバランスが影響している場合もあります。今回の症例では、こめかみ・頬・顎の3部位にヒアルロン酸を注入し、輪郭全体のバランスを整えることで、自然で立体感のある印象を目指しました。
ヒアルロン酸治療において大切なのは、「凹みを埋めること」自体が目的なのではなく、一人ひとりの骨格やボリュームロスの原因を見極めたうえで顔全体をデザインするという視点です。
同じように「体重が落ちてから老けて見える」「こめかみや頬のコケが気になる」と感じている方も、気になる部位だけを自己判断で決めるのではなく、まずは顔全体のバランスを診察してもらったうえで、自分に合った治療方法を検討することをおすすめします。
こめかみや頬のボリュームロスでお悩みの方はご相談ください
解剖学を熟知した医師が患者様一人ひとりに適した治療をご提案します。
安形医師からのコメント
症例写真からは、以下のような変化が確認できました。
なお、効果の感じ方には個人差があり、あくまで写真から読み取れる範囲での変化である点にご留意ください。
正面から見ると、こめかみと頬のコケが目立ちにくくなり、輪郭の凸凹感が和らいでいるように見受けられます。
頬骨の張りが強調されにくくなったことで、いわゆる逆卵型に近い、滑らかな輪郭に整った様子がうかがえるのではないでしょうか。
また、凹凸が減ったことで光が均一に当たりやすくなり、明るい印象につながっているようにも見えます。
横顔では、顎先にほどよい丸みと前方への張り出しが加わり、顎からフェイスラインにかけてのラインがなめらかになっています。
あわせて、鼻先・唇・顎を結ぶEラインのバランスも、施術前よりまとまった印象です。
フェイスライン全体がすっきりとしたシルエットになっており、顔全体に立体感が加わったようにも見受けられます。 正面・横顔いずれにおいても、「ピーナッツ顔」のような凹凸のある印象は目立ちにくく、全体として、自然で若々しい印象に近づいたことがうかがえる症例でしょう。