産後の抜け毛はいつまで続く?ピークと正常範囲・対策を医師が詳しく解説
産後の抜け毛に対して「髪が薄くなってきた」「ハゲたらどうしよう」と見た目の印象の変化に悩まれていませんか?
産後の抜け毛は平均的には産後半年ほどで落ち着き、遅くても1年以内に回復するケースがほとんどです。しかし、長引く場合は円形脱毛症やFAGA、免疫疾患などの可能性もあるため専門医に相談することが大切です。
この記事では、産後の抜け毛の原因や長引くケースの特徴、抜け毛改善のケア、美容医療について解説します。他人には相談しにくい産後の抜け毛でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
―この記事の要約―
▶産後の抜け毛は多くの場合、産後3〜12カ月以内に自然に落ち着く一時的な変化です。
▶原因は、ホルモンバランスの急変・睡眠不足・栄養不足・ストレスが重なること。
▶1年以上続く場合は、貧血・甲状腺異常・円形脱毛症・FAGAなど別の原因が隠れていることもあります。
▶早く落ち着かせるには、睡眠の質・鉄分やたんぱく質の補給・自律神経ケアが大切です!
▶改善しない場合は、頭皮注射などの美容医療で早期改善を目指す選択肢もあります。

目次
産後の抜け毛はいつまで続く?
産後の抜け毛は一般的に3〜12カ月以内に自然に落ち着きます。分娩後脱毛症と呼ばれ、ほとんどの女性が経験する一時的な変化です。
妊娠中は女性ホルモン(エストロゲン)の影響で抜け毛が減りますが、出産をきっかけにホルモンバランスが急激に変化します。これまで抜けずに保たれていた髪が一気に抜けることで抜け毛を感じやすくなります。
ピークは産後2〜4カ月頃で、平均的には産後半年ほどで落ち着き、遅くても1年以内に回復します。産後1年ほど続く場合でも、基本的には体の回復過程としては正常範囲と考えられます。
産後に抜け毛が起こる理由とは?
産後の抜け毛は分娩後脱毛症と呼ばれ、多くの女性が経験する一時的な変化です。妊娠にまつまわる体内環境や生活習慣の変化が大きな原因と考えられます。
妊娠中は女性ホルモン(エストロゲン)の影響で髪が抜けにくい状態が続きますが、出産を境にホルモンバランスが急激に変化し、髪が一斉に抜け始めてしまいます。
さらに、産後は夜間授乳や育児による睡眠不足や精神的ストレスが重なり、自律神経が乱れやすい時期です。自律神経の乱れは頭皮の血流低下を招き、毛根に十分な栄養が届きにくくなります。
また、母体の回復や授乳に多くの栄養が使われることで、鉄分やたんぱく質不足も抜け毛を助長させる原因です。こうした複数の要素が重なり、産後の抜け毛は起こります。
産後の抜け毛はいつまで続く?長引いてしまう原因とは
産後の抜け毛が長引く原因について解説します。病院に受診すべき目安についても解説していますので参考にしてみてください。
貧血
産後は出血や授乳の影響で、鉄欠乏性貧血を起こしやすい時期です。鉄分は髪の成長に不可欠な栄養素のため、不足すると抜け毛が長引きやすくなります。
抜け毛に加えて、めまい・動悸・強い疲労感がある場合は、血液検査による確認が望まれます。そのような症状がある場合は担当医に早めに相談しましょう。
甲状腺異常
産後はホルモン環境が大きく変化するため、甲状腺機能異常が一時的に起こるケースがあります。甲状腺ホルモンは髪の成長にも関与しており、異常があると抜け毛が改善しにくくなります。
甲状腺異常は、体重変動や動悸、異常な発汗などを伴う場合は注意が必要です。
慢性ストレス
育児による緊張状態が長期間続くと、慢性的なストレスで自律神経を乱し、頭皮の血流低下を招きます。
ストレスや疲労を感じている女性ほど抜け毛が長引きやすい傾向があります。家族や社会資源を上手く活用して息抜きをできる環境を作りましょう。
円形脱毛症やFAGA
部分的にごっそり抜ける場合は円形脱毛症、分け目や頭頂部が徐々に薄くなる場合はFAGA(女性型脱毛症)の可能性も考えられます。
分娩後脱毛症と重なって発症するケースもあるため非常にやっかいな症例です。産後1年〜1年半以上続き、自己判断が難しい場合は専門医に相談しましょう。
免疫疾患などの病気の可能性
産後の抜け毛が1年半以上続く場合や、明らかに毛量が減って地肌が目立つようになった場合には、まれに分娩後脱毛症とは別の原因が関係している可能性があります。
その一つが自己免疫の異常を含む全身性の病気です。妊娠中は胎児を守るために免疫の働きが一時的に抑えられていますが、出産後にその抑制が解除されます。免疫バランスが急激に変化し、免疫系の疾患を起こす原因になってしまいます。
「産後だから仕方ない」と自己判断で済ませずに、抜け毛が1年半以上改善しない場合や急激な毛量減少、全身症状を伴う場合は、専門医に相談しましょう。
産後の抜け毛を早く落ち着かせるケア方法
生活習慣の改善が産後の抜け毛予防や悪化を防ぐために効果的です。日常で取り入れやすいことをまとめていますので参考にしてみてください。
質のいい睡眠を確保する

睡眠中に分泌される成長ホルモンが抜け毛を予防します。しかし、産後は夜間授乳や育児によって十分な睡眠時間を確保することが難しくなります。
そのため「6〜7時間以上寝る」など時間を目標にせずに「質のいい睡眠を確保する」ことを意識してみてください。スマホやPCは寝る前には見ない、ソファーではなく布団やベッドで寝るなど細かなことを意識して質のいい睡眠をとりましょう。
鉄分やタンパク質を効果的に摂取する
鉄分やタンパク質など髪の成長に直接関わる栄養素を積極的に摂取しましょう。
- 赤身肉
- 鶏むね肉
- 卵
- 青魚
- 大豆製品
これらの食材を毎食のどこかに取り入れることが理想です。また、同時に鉄の吸収を妨げる習慣を避けることも大切です。
コーヒーや緑茶に含まれるタンニンは鉄の吸収を阻害するため、食後1時間は控え、白湯や水に置き換えるだけでも、抜け毛改善が期待できるでしょう。
休息を取り入れて自律神経を整える
産後は睡眠不足やストレスによって自律神経が乱れやすく、頭皮の血流が低下しやすくなります。血流が低下すると、毛根に十分な栄養が届かず、抜け毛が長引く原因になります。
毎日5分でもよいので、深呼吸や軽いストレッチを行う時間を作りましょう。特に首・肩・背中をゆっくり動かすことで、頭皮への血流が改善しやすくなります。朝に日光を浴びることも、体内リズムを整え、自律神経を安定させる効果が期待できます。
産後の抜け毛に効果的な美容医療
産後の抜け毛に対して早期に改善したい方やしっかり治療したい方には美容医療がおすすめです。当院のおすすめの治療法をご紹介します。
MPガンによる頭皮注射

頭皮注射は、発毛・育毛に有効な成分を頭皮へ直接注入し、毛根細胞を活性化させる薄毛治療です。
当クリニックでは、エクソソーム・PRP・ACRSといった再生医療由来の成分を用い、髪を育てる力そのものを高める根本的なアプローチを行っています。また、世界90か国以上で承認・使用されているミノキシジルも追加製剤として配合が可能です。
頭皮注射は、有効成分を必要な部位へピンポイントで届けるため、内服薬のような全身への影響を抑えつつ、効率的な発毛促進が期待できます。
施術には最新の注入機器であるMPガンを採用し、注入量や深さを精密にコントロール。痛みが少なく、ムラのない均一な施術が可能です。1回約30分と短時間で治療ができるため忙しい産後の女性でも負担が少なく続けられます。
注意点として授乳中は医師の診察が必要となります。
まとめ
産後の抜け毛は、ホルモンバランスの急激な変化や睡眠・栄養不足、慢性的なストレス、自律神経の乱れなど、複数の要因が重なって起こる一時的な症状です。
そのため、まずは生活習慣を見直し、質のよい睡眠を確保すること、鉄分やたんぱく質を意識した食事、無理をしすぎない育児環境づくりといったセルフケアが重要となります。
一方で、抜け毛が1年以上続く場合や、明らかな毛量減少が進行している場合には、セルフケアだけで改善させることが難しいケースも少なくありません。円形脱毛症やFAGA、ホルモン・免疫バランスの異常などでは、適切な治療が必要となる場合があります。
当クリニックでは、頭皮や毛根の状態を丁寧に診察したうえで、再生医療由来の成分を用いた頭皮注射など、産後の体調やライフスタイルに配慮した治療をご提案しています。
他人には相談しにくい抜け毛でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
医師・スタッフ一同、心よりご来院をお待ちしております。
よくあるご質問
患者様からよくいただく質問をご紹介します。
産後に抜け毛が起こる理由を教えてください。
妊娠中は女性ホルモン(エストロゲン)の影響で髪が抜けにくい状態が続きますが、出産をきっかけにホルモン量が急激に低下します。その結果、髪がまとめて抜けてしまいます。
産後の抜け毛は必ず自然に治りますか?
一般的には、産後3〜12カ月以内に自然に落ち着きます。ただし、1年以上続く場合や急激な毛量減少がある場合は、別の原因が隠れている可能性があります。
受診の目安はいつ頃ですか?
産後1年を過ぎても抜け毛が改善しない場合や、不安が強い場合は早めの受診をおすすめします。
産後の抜け毛を改善するセルフケアはありますか?
睡眠の質改善、栄養バランスの見直し、休息を意識することで回復が早まることがあります。
産後の抜け毛におすすめの美容医療はありますか?
MPガンによる頭皮注射がおすすめです。発毛・育毛に有効な成分を頭皮へ直接注入し、毛根細胞を活性化させる薄毛治療です。授乳中の方は事前にご相談ください。
診療時間
[ 完全予約制 ] 10:30〜19:00
土日診療あり
| 美容外科・ 美容皮膚科 |
西梅田駅から徒歩2分 プライベートスキンクリニック |
|---|---|
| 所在地 | 〒530-0002 大阪府大阪市北区曽根崎新地1-3-16 京富ビル2階 |
| 診察時間 | [ 完全予約制 ] 10:30~19:00 |
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DOCTOR.
このページの監修医師
資格
- 一般社団法人日本形成外科学会 形成外科専門医
- 特定非営利活動法人日本レーザー医学会 認定医
- 一般社団法人国際抗老化再生医療学会 正会員
- 一般社団法人 日本美容外科学会 JSAPS(Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery)正会員
- 一般社団法人日本美容皮膚科学会(Japanese Society of Aesthetic Dermatology)正会員
- 一般社団法人日本頭蓋顎顔面外科学会 正会員
- アラガン社 VST(ボトックスビスタ)認定医
- アラガン社 ヒアルロン酸バイクロスシリーズ注入認定医
- Miramar Labs社(ミラドライ開発社)ミラドライ認定医
- ジュビダームビスタ®ボリューマXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボリフトXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボルベラXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボラックスXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボライトXC認定医
- ジュビダームビスタ®ウルトラXC/ウルトラプラスXC認定医
- ボトックスビスタ認定医
- レスチレン認定医
経歴
| 平成15年 | 大阪医科大学 形成外科教室:入局 |
|---|---|
| 平成21年 | 大阪医科大学 助教(准):就任 |
| 平成24年 | 医学博士学位取得 |
| 平成25年 | 某美容クリニック:院長就任 |
| 令和5年 | プライベートスキンクリニック |
学会発表
- 第48回 日本美容外科学会総会(2025年9月25日~26日)
- 顎のヒアルロン酸注入を用いた輪郭形成-248症例の治療経験
- 第43回 日本美容皮膚科学会総会・学術大会(2025年8月16日~17日)
- POTENZA®を用いた美肌・毛穴・ニキビ治療の臨床経験
- 第42回 日本美容皮膚科学会総会(2024年8月31日~9月10日)
- PRPを用いた複合治療におけるざ瘡後瘢痕と毛穴開きの治療の当クリニックでの経験について
- 第67回 日本形成外科学会総会・学術集会(2024年4月10日~12日)
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