医療ダイエットで痩せないのはなぜ?GLP-1ダイエットの効果や向いている人について解説
「医療ダイエットは痩せないって本当?」「GLP-1ダイエットはどんな人に向いているの?」そんな疑問を持つ方も少なくありません。
医療ダイエットは効果を実感しやすい人が多い一方で、思うような変化を感じにくいケースもあります。
本記事では、医療ダイエット(GLP-1)で痩せない原因を中心に、その効果や向いている人について解説します。
目次
医療ダイエットGLP-1とは?
近年、話題となっているGLP-1ダイエットには、どのような効果があるのでしょうか。
実際に試してみたいけれど、「どんな作用があるのか気になる」という方も多いはずです。
ここでは、GLP-1ダイエットのメカニズムとその効果について詳しく解説します。
GLP-1でダイエットできるメカニズム
GLP-1(Glucagon-Like Peptide-1)とは、食事をしたときに小腸から分泌されるホルモンの一種です。
もともとは2型糖尿病の治療薬として開発されましたが、その体重減少効果から、現在では世界中で医療ダイエットの中心的な存在としてとても注目を集めています。
GLP-1は食べ物の胃の排出(胃を通過する時間)をゆるやかにし、満腹感を持続する働きがあることから「痩せホルモン」とも呼ばれています。

GLP-1ダイエットの効果
GLP-1には、次のような効果が期待できます[1]。
- 食欲を自然に抑える
- 胃の動きをゆるやかにし、満腹感を持続させる
- 血糖値の上昇を抑えて安定化させる
- 代謝を改善する
食欲を自然に抑える
GLP-1は脳の満腹中枢に作用し、「十分に食べた」というサインを感じやすくします。
少量の食事でも満足感を得られるため、無理なく食事量を減らすことが可能です。
満腹感を持続させる
GLP-1は胃の動きをゆるやかにし、満腹感を長く持続させます。
食べ物が胃に長時間とどまるため、間食や過食の防止に効果が期待できます。
「食べる回数を減らしたい」「空腹感を抑えたい」という方に効果的です。
血糖値の上昇を抑える
GLP-1はインスリンの分泌を促し、血糖値の急上昇を抑えます。
血糖値が安定することで、余分な糖が脂肪として蓄積されるのを防ぐ効果があります。
代謝を改善する
体重の減少に伴って基礎代謝が上がり、エネルギーを消費する効率が向上します。
さらに、糖や脂質の代謝バランスも整うことで、リバウンドの防止にもつながります。
継続的な治療により、安定した代謝状態を維持しやすくなるでしょう。

医療ダイエット(GLP-1)で痩せない原因は?
医療ダイエット(GLP-1)を続けても、本当に痩せるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、GLP-1ダイエットは魔法のように誰でも痩せられるわけではありません。
ここからは、医療ダイエット(GLP-1)で痩せない原因について詳しく解説します。
即効性を求めすぎている
医療ダイエット(GLP-1)は、翌日に体重が急激に落ちるような即効性は期待できません。
少しずつ食事量が減っていくため、効果を実感するには2〜3ヶ月ほどかかるのが一般的です。
そのため、1〜2週間など短期間で大きく痩せることは難しいでしょう。
また、開始時の体重やBMIによって効果の出方には個人差があります。
明確な目標体重がある場合は、事前に医師へ相談しておくと安心です。
食事量が思ったほど減っていない
医療ダイエット(GLP-1)を始めても体重の変化が見られない場合は、食事量が思ったほど減っていないのかもしれません。
GLP-1は胃の動きをゆるやかにし、満腹感を感じやすくする作用があります。
しかし、いつも通りの食事量や間食を続けてしまうと、期待するほどの効果は得られないでしょう。
特に、お腹が空いていないのに「なんとなく食べる」習慣がある方や、1食の量を減らしても間食・つまみ食いが習慣化している方は要注意です。
服用・注射方法が正しくない
正しい方法で服用や注射を行わないと、十分な効果が得られないことがあります。
例えば、であるリベルサスは服用方法がとても重要です。
起床後、何も飲食せずにコップ半分ほどの水(約120mL以下)で服用し、その後30分は飲食を控える必要があります。
誤った服用を続けると、吸収率が低下して効果を実感できなくなります。
また、GLP-1 の注射薬マンジャロ、ゼップバウンド、ウゴービは、1週間に1回注射であり、打ち忘れたりすることもあるので、しっかり週1回投与する必要があります。
運動不足による消費カロリーの低下
医療ダイエット(GLP-1)で食事量が減っても、運動不足が続くと消費カロリーが減り、体重の減少がゆるやかになります。
GLP-1ダイエットは食事がメインとなりますが、適度な運動を取り入れて代謝を促すこともかなり大切です。
ダイエットの基本である、摂取カロリーを抑えて消費カロリーを増やす意識をしましょう。
まずは、散歩やジョギングなど軽い有酸素運動から取り入れてみてください。

睡眠不足によるホルモンバランスの乱れ
医療ダイエット(GLP-1)の効果を最大限に引き出すには、十分な睡眠が必要不可欠です。
睡眠不足はホルモンバランスを乱し、食欲を高めるホルモン「グレリン」の分泌を増やします[2]。
GLP-1ダイエットを取り入れても、空腹感が強い方は睡眠時間が足りていない可能性があります。
しっかり眠ることで代謝が整い、痩せやすく太りにくい体づくりにつながるでしょう。
用量が合っていない
初期段階では体重の減りがゆるやかに感じられることもあります。
一般的には、リベルサスは3mg、マンジャロやゼップバウンドは2.5mgからスタートするケースがほとんどです。
いきなり高用量から始めると、吐き気や倦怠感といった副作用が出やすくなるため、医師と相談しながら少しずつ調整していきましょう。
体質的に効果が出にくい
基礎代謝が低かったりGLP-1に反応しにくい体質だったりすると、効果を実感できない可能性があります。
さらに、BMIが極端に低いと減らせる脂肪が少ないため、大きな変化は期待できないでしょう。
現在の体重やBMIがどの程度なのか、そしてGLP-1ダイエットでどのくらいの減量が見込めるのかについては、事前に医師と相談しておくことが大切です。
医療ダイエット(GLP-1)が向いている人の特徴
医療ダイエット(GLP-1)はどんな人に向いているのでしょうか。
ここからは、GLP-1ダイエットで効果を実感しやすい人の特徴を紹介します。
運動や食事制限が苦手な人
運動や食事制限が苦手な人には、医療ダイエット(GLP-1)が向いています。
GLP-1は自然に食欲を抑えてくれるため、今までのダイエットが続かなかった人にも効果的です。
誘惑に負けてしまい食べすぎてしまう人や、間食によってカロリーを摂りすぎてしまう方でも、ストレスを感じずダイエットに取り組めるでしょう。
また、運動をする習慣がなく、消費カロリーが少ない方にも効果が期待できます。
リバウンドの経験がある人
医療ダイエット(GLP-1)は、過去に何度もリバウンドを繰り返してきた人に適しています。
GLP-1は急激な体重減少ではなく、ゆるやかなペースで減量を促すため、リバウンドしにくいのが特徴です。
一度ダイエットに成功しても体重や体型が戻りやすい人に向いており、継続的な体重管理にも役立ちます。
さらに、GLP-1ダイエットをきっかけに生活習慣を見直すことで、より理想の体型を維持しやすくなるでしょう。
忙しくてダイエットが続かない人
医療ダイエット(GLP-1)は、服用や注射の回数が少ないため、忙しくてダイエットの時間がとれない人にも向いています。
内服薬の「リベルサス」は1日1回、注射タイプの「マンジャロ」は週1回の投与で効果が期待できます。
仕事や育児で厳密なカロリー制限が難しい人や、運動の時間がとりにくい人にも適しているでしょう。
飲み忘れや打ち忘れを防ぐには、スマホのアラームを活用するのもおすすめです。
ゆるやかに体重を減らしたい人
徐々に体重を減らしたい人や体型を整えたい人には、医療ダイエット(GLP-1)が向いています。
GLP-1ダイエットは、治療開始から2〜3ヶ月ほどで効果を実感できることが多く、ゆるやかに確実な変化を感じられます。
さらに、自己流のダイエットと違い、医師の管理のもとで行うため、自身の体重にあわせて計画的に進められる点も大きなメリットです。

医療ダイエット(GLP-1)が向かない人の特徴
医療ダイエット(GLP-1)が向かない人には、どんな特徴があるのでしょうか。
ここでは、次の4つのポイントに分けて紹介します。
- もともとBMIが低い
- 副作用が気になる
- 既往症がある
- 短期間の体重減少を目指している
それぞれについて詳しく解説いたします。
もともとBMIが低い人
BMIとは、体格を数値で表す指標で「体重(kg)÷身長(m)²」で計算できます。
GLP-1ダイエットの多くはBMI23以上の人を対象としているため、もともとBMIが低い人ほど減らせる脂肪が少なく、大きな変化を感じにくい傾向があります。
また、BMIが23未満の人に対するGLP-1ダイエットは、安全性の観点からも推奨されていません。
日本では、BMI25以上が「肥満」、35以上が「高度肥満」と定義されています。
医療ダイエット(GLP-1)では、目安としてBMI20前後を理想体重に設定するケースが多いです。
副作用が気になる人
医療ダイエット(GLP-1)では、吐き気・下痢・便秘などの副作用が生じることがあります。
治療初期にあらわれやすく、副作用によって継続が難しくなる人も少なくありません。
特に、吐き気や下痢といった消化器症状が出やすく、かなりまれに低血糖を起こす可能性もあります。
気分が悪いときは吐き気止めを処方してもらったり、低血糖の症状が出たときは甘いものを口にしたりして対処しましょう。
しかし、副作用が強く日常生活に支障をきたす場合は、医師と相談しながら治療を中断するのが望ましいです。
既往症がある方
医療ダイエット(GLP-1)は、既往症の内容によっては治療を受けられない場合があります。
特に、以下に該当する人は治療を受けられない、または慎重な対応が必要です。
- 1型糖尿病
- 膵炎の既往歴がある人
- 甲状腺の疾患がある人
- 重度の腎機能障害がある人
- 妊娠中・授乳中の人
治療の可否は医師の診断によって判断されるため、事前に既往症を正確に伝えることが大切です。
また、現在服用している薬がある場合も必ず申告しましょう。
短期間で大幅な減量を目指す人
GLP-1ダイエットは、1ヶ月あたり約1.5kg前後のゆるやかな減量を促します。
そのため、「1ヶ月で10kg痩せたい」といった短期間での大幅な減量を目指す人には向いていません。
体重の減少は体質やBMIによっても異なるため、焦らずに継続することが大切です。
また、生活習慣が乱れている人は、効果を感じにくい傾向があります。
医療ダイエット(GLP-1)だけに頼らず、食事内容や運動習慣も見直しましょう。
GLP-1の効果を最大限に引き出すコツ
GLP-1ダイエットを行うなら、できるだけ効果を実感したいですよね。
ここでは、食事や運動を中心に、GLP-1の効果を高めるコツを紹介します。
栄養バランスのとれた食事を意識する
GLP-1の作用で食欲が減っても、必要な栄養素はしっかり摂ることが大切です。
特に、タンパク質は筋肉を維持するために欠かせない栄養素です。
筋肉量が減るとリバウンドしやすくなるため、毎日の食事に意識して取り入れましょう。
タンパク質を多く含む主な食材は、以下の通りです。
- 鶏ささみ
- 豚ロース
- 鶏卵
- 大豆製品(豆腐・納豆・豆乳 など)

適度な運動を習慣にする
医療ダイエット(GLP-1)の効果を引き出すには、適度な運動を習慣にするとよいでしょう。
効率よく脂肪を燃焼するなら、有酸素運動がおすすめです。
ウォーキングやジョギングを続けることで、ダイエットの効果を実感しやすくなります。
まずは、仕事帰りに一駅分歩いてみたり、軽い散歩を30分ほど続けてみたりすることから始めてみてください。
医師の指示に従って治療を続ける
医師の管理のもとで行う医療ダイエットでは、用法・用量を守ることが何よりも大切です。
誤った方法で続けてしまうと、十分な効果が得られにくくなるため注意が必要です。
また、副作用が現れた場合は自己判断で対応せず、必ず医師に報告しましょう。
医療ダイエット(GLP-1)を始めるならPSCへ!
今回は、医療ダイエット(GLP-1)について、痩せない理由や効果を中心に紹介しました。
GLP-1ダイエットは、無理なく食事量を減らせるため、これまでのダイエットで結果が出なかった人にも向いている治療法です。
一方で、食事量が減らなかったり、運動不足によって消費カロリーが少なかったりすると、思うような効果を実感できないケースもあります。
また、もともとBMIが低い人は減らせる脂肪が少ないため、医師の診察のもとで適切な判断を受けることが大切です。
当クリニックでは、マンジャロやリベルサスといったGLP-1ダイエットのほかに、脂肪吸引注射やダイエット点滴などの施術もご用意しています。
医療ダイエットを検討している方は、お気軽にご相談ください。
参考文献・論文
[1]Megha Pawar,Chandrashekhar Patil,Zubershaha Fakir,Durgesh Pagar.GLP-1 Receptor Agonists: Advances in Mechanism, Therapeutic Applications, and Future Perspectives.November 2025BioMed Target Journal
[2]Taheri, S., et al.Short Sleep Duration Is Associated with Reduced Leptin, Elevated Ghrelin, and Increased Body Mass Index.PLoS Medicine, 2004
よくあるご質問
患者様からよくいただく質問をご紹介します。
マンジャロの使用方法を教えてください
マンジャロは、腹部や太もも、上腕などの皮下に注射するGLP-1治療薬です。
1週間に1回の自己注射を行うことで、血糖値コントロールと体重減少効果が期待できます。
マンジャロについて詳しくはこちら
マンジャロとリベルサスはどちらがいいですか?
リベルサスはGLP-1のみに作用するのに対し、マンジャロ
はGLP-1とGIPの2つのホルモンに作用します。
マンジャロのほうが体重減少効果を感じやすいです。
一方で、自己注射に抵抗がある人には、内服薬であるリベルサスのほうが始めやすいでしょう。
診療時間
[ 完全予約制 ] 10:30〜19:00
土日診療あり
| 美容外科・ 美容皮膚科 |
西梅田駅から徒歩2分 プライベートスキンクリニック |
|---|---|
| 所在地 | 〒530-0002 大阪府大阪市北区曽根崎新地1-3-16 京富ビル2階 |
| 診察時間 | [ 完全予約制 ] 10:30~19:00 |
関連記事
DOCTOR.
このページの監修医師
資格
- 一般社団法人日本形成外科学会 形成外科専門医
- 特定非営利活動法人日本レーザー医学会 認定医
- 一般社団法人国際抗老化再生医療学会 正会員
- 一般社団法人 日本美容外科学会 JSAPS(Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery)正会員
- 一般社団法人日本美容皮膚科学会(Japanese Society of Aesthetic Dermatology)正会員
- 一般社団法人日本頭蓋顎顔面外科学会 正会員
- アラガン社 VST(ボトックスビスタ)認定医
- アラガン社 ヒアルロン酸バイクロスシリーズ注入認定医
- Miramar Labs社(ミラドライ開発社)ミラドライ認定医
- ジュビダームビスタ®ボリューマXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボリフトXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボルベラXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボラックスXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボライトXC認定医
- ジュビダームビスタ®ウルトラXC/ウルトラプラスXC認定医
- ボトックスビスタ認定医
- レスチレン認定医
経歴
| 平成15年 | 大阪医科大学 形成外科教室:入局 |
|---|---|
| 平成21年 | 大阪医科大学 助教(准):就任 |
| 平成24年 | 医学博士学位取得 |
| 平成25年 | 某美容クリニック:院長就任 |
| 令和5年 | プライベートスキンクリニック |
学会発表
- 第48回 日本美容外科学会総会(2025年9月25日~26日)
- 顎のヒアルロン酸注入を用いた輪郭形成-248症例の治療経験
- 第43回 日本美容皮膚科学会総会・学術大会(2025年8月16日~17日)
- POTENZA®を用いた美肌・毛穴・ニキビ治療の臨床経験
- 第42回 日本美容皮膚科学会総会(2024年8月31日~9月10日)
- PRPを用いた複合治療におけるざ瘡後瘢痕と毛穴開きの治療の当クリニックでの経験について
- 第67回 日本形成外科学会総会・学術集会(2024年4月10日~12日)
- 額(おでこ)へのヒアルロン酸注入による輪郭形成の134症例 -使用量についての経験及び検討-
- 最新型医療ハイフ(ウルトラフォーマー®MPT)の77症例における経験及び安全性についての考察









