ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)とは?
この記事でわかること
ADMによるシミをご存じですか?
「両頬に細かいシミができた…」「これって肝斑?それともそばかす?」と感じている方は、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の可能性があるかもしれません。
ADMは一般的に知られていないシミの一種で、他のシミやそばかすと似た特徴をもっています。
今回は、そんなADMの原因や症状の特徴、さらに効果的な治療法もあわせてご紹介します。
目次
ADMとは?特徴や症状を解説
ADMとは「Acquired Dermal Melanocytosis」の略で、日本語では「後天性真皮メラノサイトーシス」と呼ばれています。
頬や目尻、額などに1〜3mmほどの小さな点状のシミが現れるのが特徴で、はっきりとした原因はまだ解明されていません。
通常は色素が存在しない真皮層に色素沈着やメラノサイト(色素細胞)がみられることから、アザの一種と呼ばれることもあります。

ADMの症状と出現しやすい年齢
ADMは日本語名の通り後天的に現れる皮膚疾患で、通常は20歳以降の女性に多くみられます。
主な症状としては、以下のような特徴が挙げられます。
- 20歳前後の女性に発症しやすい
- 1〜3cmほどの小さな点状のシミ
- 両側の頬上部に左右対称に現れることが多い
- くすんだグレー〜青みを帯びた褐色の色調
- そばかすや肝斑と混在することもある
ちなみに、ADMはかつて、真皮のメラノサイトが関係する「太田母斑」と呼ばれる青あざの一種とされていましたが、現在では異なる病態であることが明らかとなっています。
類似して見える他のシミやそばかすとの見分け方については、次の章で詳しくご紹介します。
ADMと他のシミやそばかすの見分け方
ADMは他のシミと見分けがつきにくいことが多く、混在しているケースも少なくありません。
ここでは、それぞれの特徴を比較してみましょう。
老人性色素斑(加齢によるシミ)
老人性色素斑とは、加齢にともなって現れる一般的なシミのことです。
主な原因は、紫外線の影響や肌の老化によってメラニンが蓄積されることで生じます。
ほとんどは40歳以降の中高年にみられますが、早い人では20代から現れるケースもあります。
症状としてはシミの輪郭がはっきりしているのが特徴で、大きさは数mm〜数cmと幅があり、色調は茶色〜褐色が一般的です。
紫外線が当たりやすい部位に発症するため、顔のほか、手の甲や腕などにも現れやすい傾向があります。
雀卵斑(そばかす)
そばかすは、幼少期から思春期にかけて目立ち始める、遺伝的要因によるシミの一種です。
主に直径2〜3mmほどの小さな点状の色素斑が、両頬から鼻にかけて左右対称に広がるのが特徴です。
丸型ではなく、三角形や四角形など不規則な形をしており、赤茶色〜明るい褐色の色調で現れます。
そばかすは遺伝的な影響を強く受けるといわれていますが、思春期以降は薄れていくことが多いです。
肝斑
肝斑は30〜50代の女性に現れやすいシミの一つです。
妊娠や出産などによって起こりやすく、女性ホルモンの影響が原因とされています。
主に頬骨のあたりに左右対称に現れることが多く、境界がぼんやりとしているのが特徴です。
色調は褐色〜茶褐色で、口周りや額にも生じるケースもみられます。
女性ホルモンの影響を受けやすいことから、更年期の女性に発症するケースもあります。
太田母斑
太田母斑とは、青あざの一種で、ADMと同様に青みを帯びた褐色の色調が特徴です。
発症は生後半年以内が大半ですが、20〜40代になって現れることもあります。
主に前頭部や額、目のまわりに出やすく、はっきりとした原因は分かっていません。
また、顔の片側に発生する傾向があり、アザのように広がる大きなシミになるケースが多いです。
ADMが発生する原因は?
ADMの明確な原因はまだ解明されていませんが、以下のような要因が関係しているとされています。
- ホルモンバランスの影響
- 遺伝的な要因
- 紫外線や外的な刺激
ADMは女性に多くみられることや20代前後で発症しやすいことから、女性ホルモンの影響が発症リスクを高めると考えられています。
また、どの遺伝子が関わっているかは明らかになっていないものの、家族にADMの人がいると発症リスクが高い傾向があると報告されています。
紫外線はADMの直接的な原因ではありませんが、症状を悪化させる可能性が高いので注意が必要です。
ADMのシミを治療する方法は?
ADMのシミを治療するには、Q-YAGレーザー(シミ取りレーザー)が有効です。
ADMは皮膚の奥深くにある真皮層にメラニンが沈着しているため、外用薬や一般的なスキンケアでは改善が難しく、レーザーによる治療が適しています。
ここでは、QスイッチYAGレーザーによる治療法や施術後の経過について詳しくご紹介します。
Q-YAGレーザー(シミ取りレーザー)

Q-YAGレーザーは、老人性色素斑や雀卵斑(そばかす)などのシミに対応できる代表的な美容治療機器です。
黒色に反応するレーザーを照射することで、シミの原因となるメラニン色素を破壊することができます。
肌の深い層に蓄積されたメラニンにもアプローチできるため、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の治療にも高い効果が期待できます。
Q-YAGレーザーの経過とダウンタイム
Q-YAGレーザーの施術後、ADMのシミがすぐに消えるわけではありません。
治療後は、数週間〜数カ月かけて徐々に回復していきます。
ここでは、ADM治療後の経過についてご紹介します。
- 除去したい部分にレーザーを照射します。
照射直後の患部は白く変化します。 - 1週間ほど経過すると、照射部位が黒いかさぶたのようになります。
- 新しい皮膚が再生し、かさぶたが自然に剥がれるとピンク色の肌があらわれます。
- その後、一時的に炎症後色素沈着が起こることがあります。
刺激や紫外線を避けながら、1〜2カ月は丁寧にケアしてください。 - 時間の経過とともに患部が落ち着き、自然な肌色に整います。
再びシミをつくらないためにも、紫外線対策をしっかり行いましょう。
Q-YAGレーザーのメリット

Q-YAGレーザーには、次のようなメリットがあります。
- 周囲の肌を傷つけず、ピンポイントで照射できる
- レーザー照射時の痛みが比較的少ない
- 少ない治療回数でも効果を実感しやすい
Q-YAGレーザーは、気になるシミだけをピンポイントで照射できるため、周りの肌にダメージを与えずに治療できます。
さらに、輪ゴムで弾かれた程度の軽い刺激のため、痛みに敏感な方でも受けやすい点もメリットです。
治療回数には個人差がありますが、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の治療には、通常3〜5回程度の施術が必要とされています。
ADMのシミを予防する方法
ADMを予防するには、以下のポイントを意識するとよいでしょう。
- 紫外線対策を徹底して行う
- 摩擦や刺激を避けるようにする
- 肌に合わせた適切なスキンケア
紫外線対策の徹底
紫外線には、シミの原因となるメラニンの生成を促す働きがあります。
ADMを悪化させる要因ともいわれているため、日焼け止めなどを使用して紫外線対策を行いましょう。
特に波長の長いUVAは、窓ガラスを通過して肌の深層までダメージを与えます。
日焼け止めに記載されているPAはUVAを防止する指標になるので、しっかりと紫外線対策を行う場合はPA+++のアイテムがおすすめです。

摩擦や刺激を防ぐ
摩擦や刺激は肌に負担をかけるだけでなく、シミを悪化させる原因になることがあります。
特に、メイクや洗顔の際に強くこすったり、無意識に顔を触ったりするクセがある方は注意が必要です。洗顔は泡をふわふわに立てて、摩擦を起こさないようにやさしくすすぎましょう。
水分を拭き取る際は、タオルで包み込むように軽く押さえるのがポイントです。
また、メイクに使うブラシやパフも、肌触りのよい柔らかい素材のものを選ぶと刺激を抑えられます。
適切なスキンケア
ADMのシミを予防するには、自分の肌に合ったスキンケアを取り入れることが大切です。
スキンケアだけでADMによるシミを消すことはできませんが、予防や悪化の防止には欠かせません。
特に、メラニンの生成を抑えたり、紫外線によるダメージを防いだりするには、ビタミンC誘導体を配合したアイテムがおすすめです。
また、乾燥はさまざまな肌トラブルの原因になるため、セラミドやヒアルロン酸など保湿力の高い成分を含んだクリームを使用するのもよいでしょう。
このシミはADM?気になる方はPSCへ!
ADMは、治療法の選択やシミの状態を正確に見極めるためにも、医師やクリニック選びが重要です。
適切な治療を受けるためは、医師の実績やカウンセリングの丁寧さなどを基準に、信頼できるクリニックを選びましょう。
当クリニックでは、経験豊富な医師が一人ひとりの症状を丁寧に診察し、肌状態に合わせた適切な治療をご提案します。
ADMのシミかもしれないと感じたら、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
患者様からよくいただく質問をご紹介します。
ADMの治療後に気をつけることはありますか?
ADMのレーザー治療後は、施術部分が徐々にかさぶたとなり、剥がれた後に一時的に色が濃く見えることがあります。
これは炎症後色素沈着による一時的な変化で、多くの場合は時間の経過とともに薄れていきます。
治療後は、以下の点に注意しましょう。
- 強くこすったり、無理にかさぶたを剥がしたりしない
- 紫外線を避け、日焼け止めを毎日使用する
- 保湿をしっかり行い、肌のバリア機能を保つ
ADM治療の費用はどのくらいですか?
当クリニックで行っているADM治療(Q-YAGレーザー)の料金は以下の通りです。
| 1〜5mm | 1個 | 3,300円 |
| 5〜10mm | 1個 | 5,500円 |
| 10mm以上 1mm追加毎 | 1mmあたり | 2,200円 |
※当クリニックの価格はすべて税込表示です。(2025年11月時点)
診療時間
[ 完全予約制 ] 10:30〜19:00
土日診療あり
| 美容外科・ 美容皮膚科 |
西梅田駅から徒歩2分 プライベートスキンクリニック |
|---|---|
| 所在地 | 〒530-0002 大阪府大阪市北区曽根崎新地1-3-16 京富ビル2階 |
| 診察時間 | [ 完全予約制 ] 10:30~19:00 |
DOCTOR.
このページの監修医師
資格
- 一般社団法人日本形成外科学会 形成外科専門医
- 特定非営利活動法人日本レーザー医学会 認定医
- 一般社団法人国際抗老化再生医療学会 正会員
- 一般社団法人 日本美容外科学会 JSAPS(Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery)正会員
- 一般社団法人日本美容皮膚科学会(Japanese Society of Aesthetic Dermatology)正会員
- 一般社団法人日本頭蓋顎顔面外科学会 正会員
- アラガン社 VST(ボトックスビスタ)認定医
- アラガン社 ヒアルロン酸バイクロスシリーズ注入認定医
- Miramar Labs社(ミラドライ開発社)ミラドライ認定医
- ジュビダームビスタ®ボリューマXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボリフトXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボルベラXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボラックスXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボライトXC認定医
- ジュビダームビスタ®ウルトラXC/ウルトラプラスXC認定医
- ボトックスビスタ認定医
- レスチレン認定医
経歴
| 平成15年 | 大阪医科大学 形成外科教室:入局 |
|---|---|
| 平成21年 | 大阪医科大学 助教(准):就任 |
| 平成24年 | 医学博士学位取得 |
| 平成25年 | 某美容クリニック:院長就任 |
| 令和5年 | プライベートスキンクリニック |
学会発表
- 第48回 日本美容外科学会総会(2025年9月25日~26日)
- 顎のヒアルロン酸注入を用いた輪郭形成-248症例の治療経験
- 第43回 日本美容皮膚科学会総会・学術大会(2025年8月16日~17日)
- POTENZA®を用いた美肌・毛穴・ニキビ治療の臨床経験
- 第42回 日本美容皮膚科学会総会(2024年8月31日~9月10日)
- PRPを用いた複合治療におけるざ瘡後瘢痕と毛穴開きの治療の当クリニックでの経験について
- 第67回 日本形成外科学会総会・学術集会(2024年4月10日~12日)
- 額(おでこ)へのヒアルロン酸注入による輪郭形成の134症例 -使用量についての経験及び検討-
- 最新型医療ハイフ(ウルトラフォーマー®MPT)の77症例における経験及び安全性についての考察









