鏡を見るたびに気になる頬や鼻まわりの赤み。コンシーラーやファンデーションを何度も重ねても、うまく隠れなかったり、時間が経つと赤みが浮き出てしまったりと、思うようにカバーができずお悩みの方もいると思います。
お顔の赤みは、単なる肌トラブルではなく、肌のバリア機能の低下や炎症反応など、さまざまな要因が絡み合って現れるサインです。ですから、肌質や生活習慣に合わせたケアが必要になります。
本記事では、医師監修のもと、赤みの原因を医学的な視点から丁寧に解説します。赤み肌のケアや効果的な美容医療についてもご紹介します。
赤み肌を何とかしたいと思っている方は、ぜひご覧くださいね。
なぜ肌の赤みはメイクでも隠れない?原因と仕組みを解説
肌の赤みは、肌内部の炎症や血管の拡張など、根本的な原因が潜んでいます。そのため、ファンデーションで一時的に色味を抑えても、時間が経つと徐々に浮き出てきたり、メイクが崩れると目立ってしまったりと、メイクでカバーするのが難しいのです。
ニキビや炎症後の慢性的な赤み
赤みの原因としてまず挙げられるのが、ニキビによる炎症です。炎症が起きると、患部に毛細血管が集中し、赤みを帯びた状態になります。また、ニキビが治った後に赤みが残る症状は、「炎症後紅斑」と呼ばれる赤いニキビ跡であり、肌の内部で炎症や血管の拡張が続いています。特にニキビの炎症が強かった場合、赤みが自然に引くまでに時間を要するケースもあります。
毛細血管拡張と皮膚の菲薄化
炎症を伴わない赤みとして、毛細血管拡張症があります。血流が増加した際に、なんらかの理由により毛細血管が拡張したままになってしまい、肌に赤みを帯びた状態となります。
原因ははっきりとはわかっていませんが、以下のような要因が考えられています。
- 女性ホルモンの影響
- 寒暖差
- 紫外線
- アルコール・香辛料などの刺激物
- ステロイド外用薬の使用
また、肌が薄い方や色白の方は、毛細血管が透けて見えやすいため、赤みが目立ちやすい傾向があります。
慢性的な毛細血管の拡張は、自然に治癒するのは難しく、継続的なケアが必要です。
バリア機能低下による外的刺激への過敏反応
肌のバリア機能が低下すると、ちょっとした刺激でも過敏に反応するようになり、炎症が起きて赤みがでやすくなります。
以下のような要因が考えられます。
- スキンケアの成分が肌に合っていない
- 髪の毛、衣類などの刺激
- 肌の乾燥
- 紫外線
- 肌への摩擦
- 加齢や生活習慣の乱れ
日常的なスキンケアや環境の見直しが、赤み改善につながります。
メイクで赤みが隠れにくい理由とは?
肌の赤みをメイクでカバーしにくいと感じる場合、自分の肌タイプに合ったアイテム選びができていない可能性があります。ファンデーションだけでは赤みの補正は難しく、コントロールカラーやコンシーラーの併用が効果的です。
コントロールカラーは、肌の色ムラを補正してくれるアイテムであり、赤みを打ち消す補正色として、グリーンがおすすめです。コンシーラーは、ピンポイントの赤みやニキビ跡など、ファンデーションでは隠しきれない部分をカバーできます。
NG習慣に注意!赤みを悪化させるスキンケアとは?
赤み肌は、ほんの少しの刺激にも敏感に反応するため、間違ったスキンケアを続けていると、炎症が慢性化しやすくなります。毎日スキンケアをしているのに赤みが引かない方は、肌に刺激を与えるアイテムや習慣を見直す必要があるかもしれません。
刺激の強いスキンケアアイテムの使用
肌に合わないアイテムを使い続けると、逆に肌荒れや赤みを悪化させる原因となります。
クレンジングや洗顔料、保湿剤、日焼け止めは、敏感肌用や低刺激性のものを選びましょう。メイクアイテムが肌荒れを引き起こすケースもあるため、肌が不安定な時期はメイクも最小限にするのがおすすめです。
肌をこすりすぎる雑なケア
クレンジングや洗顔、保湿ケアの際にゴシゴシこする習慣は、角質層を傷つけてバリア機能を低下させ、赤みを悪化させます。
また、ピーリングやスクラブなどの角質ケアを頻繁に行うと、肌が薄くなり、刺激に弱くなる可能性もあります。
保湿不足による乾燥と摩擦
保湿が不十分だと、肌は乾燥しやすくなり、摩擦や外的刺激に弱くなります。
肌のベタつきが気になって保湿ケアを控えてしまうと、インナードライによってさらに皮脂がでやすくなってしまう可能性もあります。
洗顔後は、すぐに化粧水や美容液、乳液、クリームなどで、しっかり水分と油分を補いましょう。自分の肌状態に合った保湿アイテムを選びましょう。
紫外線対策を怠っている
紫外線は、赤みを悪化させる最大の外的要因です。
曇りの日や室内でも、紫外線は肌に届いていますので、対策を怠ると、乾燥・くすみ・シミ・毛穴の開きなど、さまざまな肌トラブルにつながります。天気や季節を問わず毎日のUVケアと、こまめな塗り直しが大切です。肌に優しいノンケミカル処方の日焼け止めがおすすめです。
間違ったニキビ対策による赤みの悪化
ニキビができやすい方は、ついつい念入りなケアをしてしまい、実は逆効果になっている可能性があります。
- ゴシゴシ洗い
- 洗顔の頻度が多すぎる
- 毎日スクラブ入りの洗顔料を使っている
- 保湿が不十分
赤み肌は「守るケア」が基本です。刺激を減らし、バリア機能を整えると、肌は少しずつ本来の機能を取り戻していきます。自分の肌状態を理解し、ニキビや赤みを悪化させないよう正しいケアを行いましょう。
- 洗顔は1日2回、泡で優しく行う
- 化粧水+乳液やクリームで水分・油分のバランスを整える
- ノンコメドジェニック製品を選ぶ
- UV対策を毎日欠かさない
医師監修|赤み改善に効果的な美容医療5選
赤み肌に悩む方にとって、美容医療は「隠す」から「整える」へ進む第一歩です。スキンケアだけでは改善が難しい赤みや炎症も、医療的なアプローチで根本ケアが可能になります。当クリニックでは、ポテンツァや水光注射、IPL光治療など、赤み改善に特化した複数の施術をご用意しています。
ポテンツァ(Sチップ)
ポテンツァは、マイクロニードルと高周波RF(ラジオ波)を組み合わせた美肌治療です。
肌に微細な穴をあけ、針の先端から高周波を照射して、赤みの原因となる毛細血管や皮脂腺に直接アプローチします。
ポテンツァには、多種類のチップがあり、お悩みの症状に応じてチップの使い分けが可能です。中でも「Sチップ」は、赤み肌に特化したチップで、以下のような働きにより、赤みの改善や毛穴の引き締め、肌質改善などの美肌効果が期待できます
・増生した血管の減少
・皮脂腺の縮小による炎症抑制
・コラーゲン・エラスチン生成による肌質改善

ポテンツァ(POTENZA)の施術例(毛穴・赤みモード4回)
施術、料金、期間・回数、リスク(副作用)
施術 |
皮膚に刺した微細な針(マイクロニードル)から高周波RF(ラジオ波)を照射することで、赤みの原因となる毛細血管の新生を抑制する施術です。(毛穴・赤みモード)
赤ら顔の改善や毛穴の開きの改善、お肌のハリ感アップ効果が期待できます。 |
料金 |
33,000~154,000円(毛穴・赤みモードの料金) |
期間・回数 |
7カ月・5回 |
リスク (副作用) |
針によるかさぶた・腫れ・赤み・皮むけが2~5日程度起こることがあります。 |
※注意事項:治療の結果には個人差があります。
水光注射
水光注射は、極細の針を使って美容成分を肌の浅い層に均一に注入する美肌治療です。
乾燥やハリ不足、赤みなどの肌トラブルに対して、必要な成分をダイレクトに届け、肌質そのものを底上げします。
注入する薬剤は複数種類あり、肌悩みに応じてカスタマイズ可能です。
肌の赤みや赤ら顔でお悩みの方には、ACRS(自己血サイトカインリッチ血清)を用いた注入療法がおすすめです。
ACRS療法では、自分の血液から抽出した血小板を使って作る自己由来の有効成分を肌に注入します。この血清には、炎症を抑えるサイトカインや成長因子が豊富に含まれており、肌本来の治癒力を高めながら、赤みやほてりを穏やかに改善していきます。
IPL光治療(Forma α)
IPL光治療は、530nm~1100nmと広範囲の波長を持つ光エネルギーを使った美肌治療です。シミやそばかす、くすみ、小じわ、赤ら顔、ニキビなど、幅広いお悩みに同時にアプローチできるのが特徴です。
ヘモグロビンが吸収されやすい波長の光を照射し、毛細血管に働きかけて、拡張した血管を縮小し赤みを改善します。
肌表面への負担が少ないため、施術後の赤みや腫れがほとんどなく、日常生活に支障が出にくいのが魅力です。1回の施術あたりの効果はマイルドであり、5〜10回程度の継続で、徐々に赤みや色ムラが改善します。
ケアシス(エレクトロポレーション)
ケアシスは、美肌成分を肌の奥まで届ける針を使わない導入治療です。
肌には本来、外部からの異物を防ぐバリア機能があるため、通常のスキンケアでは美容成分が深部まで届きにくいという課題があります。ケアシスでは、特殊な電気パルスによって、角質細胞に一時的な隙間をつくり、有効成分を肌の奥まで浸透させます。分子の大きな成分も導入できるため、より高い治療効果が期待できます。
使用する薬剤によって治療効果が変わります。当クリニックでは、レナトス、カレシム、ペップビュー、サイトカインを導入薬剤として扱っています。
赤み治療にはレナトスがおすすめです。トラネキサム酸やビタミンC誘導体などの有効成分によって肌の炎症を抑え、赤ら顔の改善に効果的です。
針は使わないので、施術中の痛みや刺激はほぼゼロです。ダウンタイムもほとんどなく、施術後すぐにメイクができます。ケアシスの冷却機能により、他の施術後の赤みやほてりを鎮めるケアとしても活用できます。
美白内服薬 シナール・トラネキサム酸

赤みやくすみ、シミなどの肌悩みに対しては、外側からのスキンケアや治療だけでなく、内側からのアプローチも効果的です。
シナール・トラネキサム酸は、美白効果のある内服薬です。メラニンの過剰生成を抑えて、シミやくすみの改善効果が期待できます。また、トラネキサム酸の抗炎症作用や血液凝固の抑制作用により、炎症を抑えて慢性的な赤ら顔の改善効果も期待されています。
内服薬は、継続的な服用にて、徐々に効果を実感できる治療法です。美容医療と併用して、相乗効果を高めたい方におすすめです。
赤み治療の前に知っておきたいこと
赤み治療を受ける際は、施術効果だけでなく、施術全体の詳細についてもしっかり確認しておきましょう。
ダウンタイムや施術後の注意点、自分に合った治療の選び方を事前に理解しておくことで、安心して治療に専念できます。
ダウンタイムの有無と程度を確認
赤みや赤ら顔治療にはさまざまな施術方法がありますが、どの施術でも少なからずダウンタイムを伴う可能性がありますので、施術前にダウンタイムについてよく確認してから、施術計画を立てましょう。
・一般的なダウンタイムの期間
・赤みや腫れ、内出血などの可能性
・施術後の生活制限について(メイク、運動、入浴など)
特に、ポテンツァや水光注射のように、針を使用する施術は、数日間のダウンタイムが発生する可能性があります。一方、IPL光治療のように、ダウンタイムがほぼないとされている施術もあります。ただし、施術当日の肌状態や体調によって、反応がでやすい場合もあります。肌に炎症がある時は、施術前に医師としっかり相談しましょう。
施術後の過ごし方
施術後の肌は、一時的に敏感になり、乾燥しやすくなる可能性があります。しっかりと保湿ケアやUVケアを行ってください。施術当日や翌日の制限がある施術もありますので、事前に確認しておきましょう。
自分に合った施術を選ぶための判断ポイント
初めて赤み治療を受ける方は、ダウンタイムが少ない施術から始めるのがおすすめです。
1回の効果はマイルドでも、複数回の施術で徐々に改善が期待できる治療法もあります。
施術の選択肢が多いからこそ、自分のライフスタイルや肌状態に合った治療の選択が大切です。通いやすさや予算も考慮して選びましょう。
- 症状に合っているか
- 予算内か
- 施術回数や頻度
- 通いやすさ
- ダウンタイム
- クリニックの対応や雰囲気
まとめ
赤み肌の改善に効果的な美肌治療についてご紹介しました。お顔の慢性的な赤みは、人によって原因がそれぞれ異なります。放っておいても改善しない症状もありますので、気になる方は美容医療をご活用ください。
ダウンタイムが少ない施術もありますので、ライフスタイルに合った方法で改善を目指せます。
プライベートスキンクリニック(PSC)では、患者様一人ひとりに最適な施術プランをご提案いたします。
赤みや赤ら顔でお悩みの方は、当クリニックへお気軽にご相談ください。
医師・スタッフ一同心より皆様のご来院をお待ちしております!