スキンバイブ by ジュビダームビスタ® セミナー参加レポート
目次
「肌の土台」から考える、これからの美容医療
プライベートスキンクリニックの井畑医師と安形医師で、先日、スキンバイブ by ジュビダームビスタ®のセミナーに参加してまいりました。
今回のセミナーは非常に学びが多く、当院の治療方針を改めて見つめ直す良い機会となりましたので、コラムという形で皆様にも共有させていただきたいと思います。
スキンバイブとは何か
まず前提として、スキンバイブは従来の「ボリュームを出すヒアルロン酸」とは性質が異なる製剤です。
輪郭形成やしわの溝を物理的に埋めるタイプの施術ではなく、皮膚の内側の水分環境そのものを整えることで、ハリ・弾力・小じわの改善を目指す「肌質改善治療」というカテゴリーに位置づけられています。
セミナーでは、この治療を「Hydration(保水)」という新しいカテゴリーとして捉える考え方が紹介されました。肌質改善治療はここ数年でブームとも言える広がりを見せていますが、その根底には「肌が美しいことが、その人の健康や快適な暮らし、そして幸福感にまでつながる」という価値観の変化があるように感じます。
スキンバイブは、保水性・弾力性・小じわ改善という3つの効果を持つ、Hydrationに特化した製剤です。臨床データでは、1回の施術で肌の保水性が最長9カ月間持続することが示されており(※1)、患者様の約7割が施術後9カ月の時点でも効果に満足、またはやや満足していたという報告もありました。

SKINVIVE™(スキンバイブ)の国際版公式サイト
なぜ1回の施術で長期間の効果が続くのか
この持続性のメカニズムについても興味深い説明がありました。皮膚に対しては、少なくとも2つの効果が組み合わさることで、長期的な保水性がもたらされると考えられています。
一つは、表皮の水分含有量の増加です。親水性の分子が、その重量の1,000倍以上の水を引き寄せて保持することで、肌のうるおいを支えます。
もう一つは、皮膚のより深い層でのアクアポリン3(AQP3)などの水分調節分子の増加です。AQP3は、皮膚細胞内および皮膚細胞間での水分やグリセロールの輸送を促進する分子で、線維芽細胞の働きにも関わっているとされています。
つまり、表皮での「水分を抱え込む力」と、真皮深層での「水分をめぐらせる仕組み」の両方が連動することで、長期的な保水効果につながっているというわけです。

「土台を整えてからデバイス治療へ」という発想
今回のセミナーで、私が特に印象に残ったのは次の考え方です。
レーザーや高周波(RF)などのデバイス治療は、シミ・肝斑・たるみなど幅広い悩みに対して非常に有効な選択肢です。ただ、その効果を最大限に引き出すためには、まず肌の土台となる真皮の微小環境そのものが整っていることが重要になります。
スキンバイブは、皮内にヒアルロン酸を注入することで肌の水分保持力を高め、線維芽細胞が働きやすい環境を整えます。線維芽細胞はコラーゲンやエラスチンを産生する、いわば肌づくりの主役です。この細胞が本来の力を発揮できる環境があってこそ、その後のデバイス治療の効果もより引き出されやすくなる、という理屈です。
これを整理すると、次のような治療設計が見えてきます。
「水分を貯める」→「肌の土台を整える」→「デバイス治療の効果を引き出す」
単発の施術を積み重ねるのではなく、こうした順序立てたロジックで治療を組み立てていくという発想は、今後の美容医療においてますます重要になっていくと感じています。
頬・頸部への注入テクニックについて
技術的な側面では、頬・頸部への注入テクニックについても具体的な解説がありました。
頬部については、0.5〜1.0cm間隔で1カ所あたり0.02〜0.025mlを目安に注入し、均等な間隔での注入に不安がある場合は、あらかじめ格子状やドット状のマーキングを行うという方法が紹介されていました。片頬あたり1ccが注入量の目安とされています。注入層は真皮深層で、アシストする手で皮膚をストレッチしながら、針を30度以下の角度で3分の2ほど刺入し、マイクロアリコート注入を行うこと、そして凸つきが出ないよう慎重に行い、万一凸つきが出てしまった場合には確実にモールディングを行うことなどが、実践的なポイントとして挙げられていました。
頸部については、凸つきのリスクが比較的高いエリアであるため、頬部よりもさらに少ない注入量(1カ所0.01ml程度)で慎重に行う必要があるとのことでした。横じわそのものだけでなく、横じわの上下も含めた頸部全体への面的な注入を検討することで、頸部全体の保水性・弾力性の底上げにつながり、結果としてより自然な皺の改善が期待できるという説明も印象的でした。いずれの部位でも、仕上がりの評価は座位で行うことが推奨されています。
治療計画への組み込み方
もう一つ重要だったのは、「スキンバイブは他の治療法と競合するものではなく、共生していく」という位置づけの考え方です。スキンバイブは適応となる患者様の幅が広いため、他の肌質改善治療との「使い分け」というよりも、既存の治療計画にどう組み込んでいくかという視点が求められます。
具体的には、ボトックス治療、フィラー注入、顔の色調・つやに対する治療(IPLやマイクロニードリングなど)、スキンタイトニング治療、そしてボディコントゥアリングなどのその他の治療と併用されるケースが臨床データでも多く報告されており、こうした併用治療との間で、スキンバイブに固有の有害事象は認められなかったという報告もありました。
ただし、併用治療の安全性・有効性や施術間隔などについては、引き続き検証が必要な段階であることも付け加えられていました。
まず初回のカウンセリングで患者様のゴールをしっかり確認し、複数の治療選択肢をわかりやすくご説明した上で、そのニーズに合った治療プランをご提案していく。この基本姿勢の大切さを、改めて実感したセミナーでした。
おわりに
シミ、肝斑、小じわ、ハリ不足など、患者様が抱えるお悩みは一人ひとり異なります。
そして、その主訴やご予算、治療の優先順位に応じて、レーザー・注入・スキンケアをどのような順番で組み合わせていくかという「治療設計」こそが、これからの美容医療において重要な視点になっていくと感じています。
美容医療は、単発の治療を提供する時代から、ゴールから逆算して治療スケジュールを組み立てていく時代へと移り変わってきています。日本の美容医療も、こうした発想の面でグローバル基準へとさらにレベルアップしている印象を強く受けたセミナーでした。
当クリニックでも、自然な若返りと肌質改善を大切にしながら、一人ひとりの患者様に合った治療計画をこれからもご提案してまいります。

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