唇のヒアルロン酸注入に失敗したらどうなる?原因や対処法を医師が解説
この記事でわかること
唇のヒアルロン酸注入は、薄い唇をふっくら見せたり、理想の形に整えたりする施術です。
しかし、失敗するリスクもあることから、施術を悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、唇のヒアルロン酸注入を検討している方に向けて、失敗例や原因、さらに失敗してしまった場合の対処法や注意点を詳しく紹介します。
目次
唇のヒアルロン酸注入とは?どんな効果が期待できる?
ヒアルロン酸注射は、唇のボリュームアップや形を整えたい方に人気のある施術です。
施術時間やダウンタイムも少ないことから、幅広い年代の方に選ばれています。
まずは、唇のヒアルロン注入の期待できる効果について紹介します。
薄い唇をボリュームアップできる
ヒアルロン酸は高い保水力と弾力性があるため、唇に自然なふくらみと立体感を与えてくれます。
生まれつきの薄い唇や、加齢によって失われた唇のボリュームを取り戻したい方に効果的です。
上唇と下唇のバランスが整うことで、口元の印象もぐっと華やかになるでしょう。
また、加齢や表情のクセによって、口角が下がっている方にもおすすめの施術です。
ヒアルロン酸を口角周辺に注入することで、自然と上向きになり若々しい印象に導きます。
M字リップやピーナッツリップなど理想の形に近づく
上唇のカーブが特徴的な「M字リップ」や、ふっくらと立体感のある「アヒル口」に憧れる方も多いのではないでしょうか。
ヒアルロン酸は形をデザインしながら注入できるため、唇の輪郭やカーブを整え、理想の形に近づくことができます。
最近では、以下のようなデザインも人気です。
- Cカールリップ
上唇をゆるやかにカールさせ、丸みのある女性らしい輪郭に仕上げる - スマイルリップ
口角のラインをなだらかに整えることで、笑っているような柔らかい口元を演出する - 台形リップ
下唇の中央にボリュームを出し、台形のような安定感のあるふっくら感をつくる - ピーナッツリップ
下唇の中央を控えめにし、両サイドをふくらませてメリハリのある立体感を出す
人中短縮にも効果を発揮する
人中とは鼻の下から上唇までの部分を指し、この距離が長いと顔が間延びして見えることがあります。
ヒアルロン酸を上唇に注入すると唇の位置が高くなり、視覚的に人中を短く見せる効果が期待できます[3]。
さらに、できるだけ人中を短縮したい方は、上唇の山の部分に注入するのがおすすめです。
人中の短縮はもちろん、唇が上方向に持ち上がることで若々しい印象につながります。
細かなデザインの希望は、施術前のカウンセリングで具体的に伝えておきましょう。
唇の縦ジワ・乾燥をカバーできる
ヒアルロン酸注射は、唇の縦ジワや乾燥が気になる方にも効果的な施術です。
保水力の高いヒアルロン酸が唇のうるおいを保つことで、シワやカサつきが目立ちにくくなります。
口紅がにじみにくくなり、リップメイクもきれいに仕上がるでしょう。
ぷるんとしたツヤのある唇を目指す方は、ぜひ検討してみてください。
唇のヒアルロン酸注入の失敗例と原因
唇のヒアルロン酸注入は、どのような原因で失敗するのでしょうか。
ここでは、以下の失敗例について詳しく解説します。
- 過剰な注入で腫れぼったくなる
- ヒアルロン酸が透けて青白く見える
- 注入部位にしこりや凹凸ができる
- 血管塞栓が生じる
それぞれの原因を確認してみましょう。
過剰な注入で腫れぼったくなる(ヒアル顔)
ヒアルロン酸を必要以上に注入すると、唇が腫れぼったく仕上がることがあります。
いわゆる「ヒアル顔」や「タラコ唇」と呼ばれる状態で、実際の失敗例でもよく見られるケースです。
主な原因としては、経験の浅い医師が過剰に入れすぎてしまったり、繰り返しヒアルロン酸を注入したりすることで起こります。
ヒアルロン酸は徐々に体内に吸収されるため、効果に慣れると頻繁に注入してしまう方も少なくありません。
施術頻度は自己判断せず、医師に相談しながら決めることで自然な仕上がりを保ちやすくなります。
ヒアルロン酸が透けて青白く見える
唇の皮膚は非常に薄いため、注入したヒアルロン酸が青白く透けることがあります。
これは「チンダル現象」と呼ばれる状態です[1]。
主に皮膚の浅い層への注入や、唇に適していない製剤を使った場合に起こります。
このようなトラブルを避けるには、適切な部位への注入が求められますが、残念ながら100%防ぐことはできません。
できるだけリスクを減らすためには、ヒアルロン酸注入の実績が豊富な医師を選ぶとよいでしょう。
注入部位にしこりや凹凸ができる
施術後に注入部位に硬いしこりを感じたり、表面に凹凸が現れたりするケースがあります。
しこりが生じる原因は、注入したヒアルロン酸が均一に広がらず、局所的に固まってしまうためです。
とくに粒子の大きい製剤の使用や、繰り返し施術を受ける方に起こりやすいといわれています。
唇のヒアルロン酸注入で使用される製剤は、柔らかく皮膚になじみやすいものが一般的です。
当クリニックでは、ジュビダームビスタシリーズの「ボリフトXC」や「ボルベラXC」、さらにお試しとして韓国製の「ニューラミスディープ」を取り扱っています。
血管塞栓(血流が止まる重大な失敗)
ヒアルロン酸注入は安全性の高い施術ですが、血管塞栓など重大なトラブルが起こる可能性もあります。
ヒアルロン酸で使用する針は非常に細く、誤って血管に入ると皮膚の壊死や失明につながります[2]。
気軽にできる施術として人気を集めていますが、こうしたリスクがあることを把握しておきましょう。
血管塞栓は施術から数時間後に、初期症状として皮膚の変色や目の痛みが現れたりします。
重篤化を防ぐためには、ヒアルロン酸を分解する「ヒアルロニダーゼ」などの処置を受ける必要があるため、違和感があれば速やかに相談しましょう。
唇のヒアルロン酸注入で失敗したときの対処法
唇のヒアルロン酸注入で失敗してしまったら、どう対処すればよいか迷いますよね。
ここからは、トラブルが起きた場合の対処法を3つ紹介します。
1〜2週間は経過をみる
ヒアルロン酸の注入後は、一時的に腫れや内出血が生じることがあります。
通常は1〜2週間ほどで馴染んでくるため、施術直後はしばらく様子を見るとよいでしょう。
一方で、以下のような症状が現れた場合は、すぐにクリニックへ相談してください。
- 強い痛みが治まらない
- 皮膚が変色している
- しこりや凹凸がある
ヒアルロン酸溶解注射で分解する
ヒアルロン酸の量を注入しすぎたり、理想の仕上がりにならなかった場合は、ヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸分解注射)で修正することが可能です。
ヒアルロニダーゼにはヒアルロン酸を分解する作用があり、およそ1週間程度で体内に吸収されます。
ヒアルロン酸の種類や注入量によっては、一度で溶けないケースもあるため、どのくらいの回数が必要か医師に確認するとよいでしょう。
分解後に問題がなければ、再度注入することもできます。
他院で修正を検討する
ヒアルロン酸注入は医師の技術によって差が出やすいため、修正を検討する場合は他院に相談するのも一つの方法です。
カウンセリングでは、使用した製剤や注入量、どのくらい経過したかなど、できるだけ詳しい情報を伝えましょう。
ヒアルロニダーゼで分解したあとは、理想の形やボリュームを改めて確認し、再度注入して仕上がりを調整していきます。
唇のヒアルロン酸注入で失敗を防ぐには?
ここからは、唇のヒアルロン酸注入で失敗を防ぐためのポイントを紹介します。
クリニックや医師選び、施術後の注意点も含めて詳しく解説します。
症例数が豊富で技術の高い医師を選ぶ
ヒアルロン酸注入は医師の技術力によって、仕上がりに差が出やすい施術です。
クリニックを選ぶ際は、医師の実績や症例を確認してから選びましょう。
失敗すると不自然な仕上がりになるだけでなく、腫れやしこりが生じる可能性があります。
カウンセリング時には、以下のポイントを参考にしてください。
- 医師の診察や施術が丁寧か
- 希望をしっかり聞いてくれるか
- 費用やプランが分かりやすいか
- アフターケアがあるか
- トラブルが起きた時の説明があるか

リスクや注意点を把握しておく
ヒアルロン酸注入を行う際は、リスクや注意点をあらかじめ把握しておきましょう。
どんなトラブルが起こるか知っておくと、適切な対応をしやすくなります。
よくある施術後の症状としては、注入部位が思ったより腫れてしまうことです。
腫れを落ち着かせるには、保冷剤や濡れたタオルで注入部位をやさしく冷やしましょう。
2週間以上経っても症状が変わらない場合は、改めてクリニックへ相談してみてください。
理想のイメージや仕上がりを明確に伝える
ヒアルロン酸注入で理想の唇にするには、イメージや仕上がりを明確に伝えましょう。
希望に近い症例写真や画像を見せることで、言葉だけでは伝わりにくい理想の形や雰囲気を共有しやすくなります。
さらに「人中を短く見せたい」「唇のバランスを整えたい」など、具体的な要望があると、適切なヒアルロン酸製剤や注入量の判断につながります。
カウンセリング時は緊張せずに、自分の意見を率直に伝えてみてください。
施術後は医師の指示に従って過ごす
希望の仕上がりを目指すには、医師の指示を守ることも大切です。
施術後に注意したいポイントを4つ紹介します。
- 入浴や運動など、血行を促進する行動は控える
- マッサージなど、皮膚に刺激を与えない
- 施術当日から1〜2日は、注入部位をなるべく触らない
- 当日のメイクは、注入部位を避ける
施術後に血行を促す行動をすると、腫れや内出血が悪化する可能性があります。
ダウンタイムを長引かせないためにも安静に過ごしましょう。
さらに、むやみに触るとヒアルロン酸の位置が動いてしまうので注意が必要です。
1週間程度はマッサージや摩擦、刺激を避けて生活しましょう。
まとめ
今回は、唇のヒアルロン酸注入で失敗する原因や対策について紹介しました。
唇のヒアルロン酸注入は、薄い唇をふっくらさせたり、理想の形に整えたりできる人気の高い施術です。しかし、医師の技術不足によっては、注入部位の腫れやしこりが生じる可能性があります。
こうした失敗を防ぐには、信頼できるクリニックや技術力の高い医師を選ぶことが大切です。
年間2,000名以上にヒアルロン酸注射施術を行っている当クリニックでは、ヒアルロン酸注入の経験豊富な医師が、患者様のご希望に沿った施術をご提案いたします。
仕上がりのイメージが具体的でない方も、ぜひお気軽にご相談ください。

参考文献・論文
[1] Management of Tyndall Effect. Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology, 2016.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5300720
[2] Vascular Complications after Facial Filler Injection: A Literature Review and Meta-analysis. The Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology, 2019.
https://jcadonline.com/filler-complications-june-2019
[3] Lip filler with hyaluronic acid – Light Lips Technique. Annals of Dermatological Research, 2022.
https://www.dermatojournal.com/index.php/adr/article/download/adr-aid1020/pdf/3788
よくあるご質問
患者様からよくいただく質問をご紹介します。
ヒアルロン酸を唇に注射すると失明する?
唇にヒアルロン酸を注入することで、必ずしも失明するわけではありません。
しかし、誤ってヒアルロン酸が血管に入り込むと、目の血管まで影響が及び、血流が途絶えることで失明につながる可能性があります。
M字リップにするには何cc必要ですか?
M字リップは、上唇の中央の凹みを際立たせるようにデザインします。
一般的には、上下で合計0.5〜1ccを注入することが多いです。
唇ヒアルロン酸の料金はいくらですか?
当クリニックの唇ヒアルロン酸注射で使用する製剤と価格は以下の通りです。
- ニューラミスディープ:29,700円
- ジュビダームビスタ® ボリフトXC:60,500円
- ジュビダームビスタ® ボルベラXC:77,000円
※全て1本(1ml)の価格になります(2025年12月時点)
※目元・鼻・唇・顎のヒアルロン酸に関しては、1カ所につき、別途手技料4,400円が必要です。
診療時間
[ 完全予約制 ] 10:30〜19:00
土日診療あり
| 美容外科・ 美容皮膚科 |
西梅田駅から徒歩2分 プライベートスキンクリニック |
|---|---|
| 所在地 | 〒530-0002 大阪府大阪市北区曽根崎新地1-3-16 京富ビル2階 |
| 診察時間 | [ 完全予約制 ] 10:30~19:00 |
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DOCTOR.
このページの監修医師
資格
- 一般社団法人日本形成外科学会 形成外科専門医
- 特定非営利活動法人日本レーザー医学会 認定医
- 一般社団法人国際抗老化再生医療学会 正会員
- 一般社団法人 日本美容外科学会 JSAPS(Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery)正会員
- 一般社団法人日本美容皮膚科学会(Japanese Society of Aesthetic Dermatology)正会員
- 一般社団法人日本頭蓋顎顔面外科学会 正会員
- アラガン社 VST(ボトックスビスタ)認定医
- アラガン社 ヒアルロン酸バイクロスシリーズ注入認定医
- Miramar Labs社(ミラドライ開発社)ミラドライ認定医
- ジュビダームビスタ®ボリューマXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボリフトXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボルベラXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボラックスXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボライトXC認定医
- ジュビダームビスタ®ウルトラXC/ウルトラプラスXC認定医
- ボトックスビスタ認定医
- レスチレン認定医
経歴
| 平成15年 | 大阪医科大学 形成外科教室:入局 |
|---|---|
| 平成21年 | 大阪医科大学 助教(准):就任 |
| 平成24年 | 医学博士学位取得 |
| 平成25年 | 某美容クリニック:院長就任 |
| 令和5年 | プライベートスキンクリニック |
学会発表
- 第48回 日本美容外科学会総会(2025年9月25日~26日)
- 顎のヒアルロン酸注入を用いた輪郭形成-248症例の治療経験
- 第43回 日本美容皮膚科学会総会・学術大会(2025年8月16日~17日)
- POTENZA®を用いた美肌・毛穴・ニキビ治療の臨床経験
- 第42回 日本美容皮膚科学会総会(2024年8月31日~9月10日)
- PRPを用いた複合治療におけるざ瘡後瘢痕と毛穴開きの治療の当クリニックでの経験について
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