オステオポール除去
この記事でわかること
- 1オステオポールの危険性とリスク
- 2オステオポール除去の実際の症例
- 3安全な鼻整形を考える重要性
目次
いつも当コラムをご覧いただきありがとうございます。
今回は、鼻へのオステオポールによって皮膚の血流障害を起こしたため、除去を希望された患者様の除去の症例についてや、オステオポールの危険性・リスクについてご紹介します。
オステオポール(オステオポア)とは?やばいってホント?
オステオポールは、PCL(ポリカプロラクトン)と呼ばれる生体吸収性の高い製剤をボール状にした材料で、オステオポアや3DPCLボールなどとも呼ばれています。
近年、美容医療界隈で鼻尖形成と言い回し、鼻尖部の高さや、だんご鼻改善とうたい、耳介軟骨移植などの自家組織移植の代用移植として、手術されています。
PCLは、一般的に2~3年程度かけて体内に吸収されていくため、数年かけて吸収されると言われていますが、その間に軟骨の変形、鼻尖部の皮膚の血流障害を招き、皮膚が壊死を起こしかねません。
実際に、鼻に埋め込んだオステオポールを除去される方がいることからもわかるように、危険性が高く、当クリニックでは扱っておりませんし、おすすめしていない施術です。リスクについて、施術前に必ず把握していただきたいと思います。
鼻へのオステオポールの危険性・リスク
オステオポールが登場したのは、今から数年前だと記憶しています(2010年代半ば)。
鼻尖へは耳から採取した耳介軟骨を移植する方法がスタンダードなのですが、その耳介軟骨を採取しなくても良いため、施術時間が短縮できるという触れ込みでした。
しかし結局のところ、鼻を切開し、オステオポールを挿入する必要があることから、ダウンタイムは耳介軟骨移植術と変わらず、硬い素材を鼻尖に挿入するため下記のようなリスクが想定できたため、当クリニックでは導入をしませんでした。
では、実際に鼻へのオステオポールを挿入することによる危険性やリスクについて解説します。
皮膚の血流障害
オステオポールは、鼻先を尖らせる(鼻先にボリュームを出す)ことを目的とした施術ですので、「硬さ」と「大きさ」が必要な材料です。
鼻先に挿入したオステオポールが、内側から皮膚を圧迫することによって、血流が阻害され、鼻の皮膚が非薄化してしまうリスクがあります。
皮膚組織の壊死
皮膚の血流が阻害されると、皮膚が白く見えたり、違和感や痛みを感じることがあります。 この状態を放置すると、やがて血流が阻害された鼻尖部の皮膚が壊死を起こしてしまいます。 壊死を起こした皮膚は紫~黒色に変色し、激しい痛みを生じます。
感染
壊死を起こした鼻先の皮膚は、外敵(菌など)からのバリア機能を完全に失ってしまうため、雑菌などによる感染を起こすリスクが非常に高まります。
オステオポールが飛び出るリスク
オステオポール挿入後の縫合や、創部の癒合が不十分であった場合、オステオポールが飛び出るリスクがあります。
だんご鼻が悪化するリスク
鼻へのオステオポール挿入によって鼻尖形成や鼻中隔延長ができ、だんご鼻を改善するとうたっている美容クリニックがありますが、オステオポールは硬すぎるので、土台となる鼻翼軟骨の中間脚がひしゃげ、団子鼻が悪化するリスクがあります。
オステオポールは安全性が高いとうたわれているが・・
オステオポールの施術を行っているクリニックのウェブサイトを拝見すると、「オステオポールは安全性が高い施術です」とうたわれていることがほとんどです。
どのような理由で「安全性が高い」とうたわれているのでしょうか?
オステオポールの安全性が高いとうたわれている理由
①溶ける
オステオポールの材料であるPCLという素材は、生体吸収性が高いため、やがて体内に吸収をされていきます。
「体内に吸収される素材は安全性が高い」という意味で「安全性が高い」とうたわれているにすぎず、決してオステオポール挿入手術が安全性が高い手術という意味ではありません。
埋め込むものが「溶けるか」「溶けないか」よりも、施術自体の安全性を重視する必要があるのです。
②保健機関で承認されている製剤
「PCL(ポリカプロラクトン)はFDA(アメリカ食品医薬品局・日本の厚生労働省に当たる)、CE承認(EU各国の安全基準を満たした製品に対して行われる承認マーク)を得ているため、安全性の高い素材です。」
と聞くと安全性が高そうに聞こえますが、あくまでもPCLという医療用吸収糸で古くから使われている素材に対する安全性のことで、オステオポールの挿入についての安全性ではありません。
オステオポールの除去及び鼻尖変形の再建
今回症例写真にご協力頂きましたこの患者様は、鼻尖部にオステオポールを挿入され、1年半が経過していました。? 下はオステオポール除去手術前の画像です。?
オステオポールによる鼻尖部の変形と発赤を認めたため、 【オステオポール除去】【変形した鼻尖の再建】【耳介軟骨と真皮脂肪移植】を行いました。 オープン法にて切開し、剥離をすすめていくと、オステオポールは鼻翼軟骨の中間脚と癒着しており、さらに鼻翼軟骨が完全に変形していました。癒着を起こしていたオステオポールを丁寧に剥離し、除去しました。下の写真は除去をしたオステオポールです。
※オステオポール除去手術中の画像は苦手な方もいらっしゃると考え、当記事の最後に掲載しています※
その後軟骨を露出し、鼻尖形成を行い、Tip(鼻先)に耳介軟骨と真皮脂肪移植を行い、押し潰された鼻尖部をシャープに再建しました。耳介軟骨と真皮脂肪は耳から採取し、丁寧に縫合を行いました。 下の写真は、手術前/1週間後/抜糸後(10日後)です。
術後10日目のため、まだ赤みや内出血は見られますが、時間とともに落ち着いていきます。 引き続き経過のケアをさせて頂きます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回はオステオポール除去の症例のご紹介と、オステオポールのリスクや危険性について解説いたしました。 オステオポールの鼻への挿入は絶対にお勧め出来ません。これからオステオポール挿入手術を検討されている方は、今一度考え直して頂ければと思います。 オステオポールなどの異物を鼻に入れて後悔している方や、他院様での鼻の整形手術後の状態にお悩みの方などは、当クリニックへ是非ご相談にお越しください。
オステオポール除去の料金
当クリニックのオステオポール除去施術は、187,000円(税込)という料金で行っています。 まずはお気軽に診察にお越しください。 医師スタッフ一同心よりお待ちしております。
【閲覧注意】オステオポール除去手術中の画像
※ここからは手術中の画像のため、苦手な方は閲覧をお控えください※
オステオポール除去前の鼻尖部及び鼻翼軟骨の状態
下記の画像の通り、オステオポールが鼻の内側から皮膚を圧迫していることがお分かりいただけると思います。
鼻翼軟骨の中間脚と癒着したオステオポールを丁寧に剥離しながら除去しました。
オステオポール除去後の鼻尖部及び鼻翼軟骨の状態
下記の画像はオステオポールを除去した後の状態を撮影した画像です。
鼻翼軟骨がオステオポールによって変形してしまっていることが分かります(白い丸で囲った部分)。
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美容外科 美容皮膚科 プライベートスキンクリニック 梅田院
〒530-0002 大阪府
大阪市北区曽根崎新地1-3-16
京富ビル2階
この施術ページの監修医師
優聖会理事長安形省吾
患者様とのコミュニケーションを大事に、安心・納得していただける施術を心がけております。
患者様とのコミュニケーションを大事に、安心・納得していただける施術を心がけております。
所属
- 平成14年
- 大阪医科大学医学部医学科:入学
- 平成22年
- 大阪医科大学付属病院 形成外科学教室:入局
- 平成23年
- 守口敬任会病院:入職
- 平成25年
- 東住吉森本病院:入職
- 平成27年
- 大阪医科大学付属病院 形成外科学教室:入職
形成外科専門医取得
助教就任
- 平成28年
- 東住吉森本病院:入職
- 平成30年
- プライベートスキンクリニック:入職
略歴
- 一般社団法人日本形成外科学会 形成外科専門医
- 一般社団法人日本頭蓋顎顔面外科学会 正会員
- 一般社団法人日本創傷外科学会 正会員
- アラガン社 VST(ボトックスビスタ)認定医
- アラガン社 ヒアルロン酸バイクロスシリーズ注入認定医
- Miramar Labs社(ミラドライ開発社)ミラドライ認定医
学会発表
第67回 日本形成外科学会総会・学術集会(2024年4月10日~12日)
※当クリニックのホームページは、厚生労働省より2018年6月に施行された「医療広告ガイドライン」を遵守して作成しております。
※当クリニックの施術メニューは、公的医療保険が適用されない自由診療です。