トレチノインは何に効くの?

監修医師

井畑 峰紀

医療法人優聖会最高顧問

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井畑 峰紀医師

この記事でわかること

  • 1トレチノインで解決できる肌トラブル
  • 2効果が得られにくいケースと症状
  • 3美白効果を高めるハイドロキノンとの併用について

トレチノインは何に効くの?

今回は、美白・美肌の両方の効果が期待できるトレチノインの効果について、お伝えします。
ハリや弾力に満ち、若々しく透明感がある。
そんなお肌を目指したい方は、ぜひご覧ください!

トレチノインとは?何に効く?

一般的な市販されている化粧品でのケアの場合、有効成分はお肌の浅い層(表皮)まで作用しますが、お肌の深い層(真皮層)にまでは届きません。
トレチノインは、お肌の細胞に直接働きかけて活発にすることで、お肌の生まれ変わりを促し美白や美肌に導きます。

トレチノインは、ビタミンA誘導体です。
お肌に塗布することで

  • コラーゲンやエラスチンなど弾力成分の生成促進
  • ターンオーバーの促進
  • 保湿成分ヒアルロン酸の分泌促進
  • ピーリング効果
  • 皮脂の分泌抑制
  • 光老化抑制

などの効果が期待できます。
それではトレチノインの美肌効果・美白効果について、具体的に見ていきましょう!

トレチノインの美肌作用

トレチノインの美肌作用

トレチノインを使用することで、以下のようなお肌悩みを改善し、美肌に導きます!

  • たるみ
  • シワ
  • ほうれい線
  • キメ
  • 毛穴
  • ニキビ

たるみ改善効果

ハリと弾力を保つことが、たるみの改善には大切です。

お肌のハリや弾力は、真皮層に含まれるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などによって保たれています。それらを生成しているのが線維芽細胞と呼ばれるものです。
線維芽細胞の機能が、さまざまなことで低下してしまうと、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸も減少してしまいます。

トレチノインは線維芽細胞の働きを活発にし、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の分泌を促進することで、たるみの改善に導きます。

シワ改善効果

シワの改善には、お肌の潤いを保ち、たるみを防ぐことが大切です。

シワには、主に表皮に生じるシワと、真皮に生じるシワに分類されます。
表皮のシワは乾燥、真皮のシワはハリや弾力成分の減少と、たるみによって生じやすくなります。
表皮のシワは、やがて真皮にまで達する可能性がありますので、早いうちのケアが大切になります。

お肌の潤いを保つための成分の一つに、ヒアルロン酸があります。
お肌の水分を抱え込み、たくさん蓄える性質をしています。
トレチノインはヒアルロン酸の分泌を促進し、お肌に潤いを与えて表皮のシワを改善に導きます。

真皮層のシワの改善には少し時間がかかる可能性もありますが、コラーゲンやエラスチンの分泌促進によって、ふっくらしたお肌に導きハリを向上させることで、シワを目立たなくしていきます。

ほうれい線改善効果

ほうれい線は、もともとの骨格などによっても生じますが、年齢と共にさらに目立つようになります。
一見シワのように見えますが、たるみが原因です。

ほうれい線の原因となるたるみは、筋力の低下などでも生じるため、トレチノインのみで完全に消すことは難しいかもしれません。

ですがトレチノインの作用で、お肌にハリと弾力、みずみずしさを与え、たるみを改善することで目立ちにくくできる可能性は十分にあります。

キメ改善効果

お肌の細胞を生まれ変わらせ、ハリと潤いを保つことで、お肌のキメは整います。
キメが整ったお肌は滑らかな質感で、みずみずしくハリがあり、透明感に満ちあふれています。

キメが乱れる原因は主に、古い角質の蓄積と乾燥、ハリの低下です。
古い角質の排除を促すためには、ターンオーバーが大切です。

トレチノインは、ターンオーバーを促進して古い角質の排除を積極的に行い、お肌を滑らかにします。
保湿成分であるヒアルロン酸の分泌を促し潤いを与え、コラーゲンやエラスチンの生成を促進して、ハリを向上させます。

にきび改善効果

ニキビ改善のためには、過剰な皮脂の分泌と、毛穴を詰まらせないことが大切です。
毛穴詰まりは、ニキビの始まりであるコメドになります。
コメドを放置すると内部でアクネ菌が増殖し、炎症ニキビに発展します。

トレチノインには、ピーリング作用と皮脂の抑制作用があります。

一般的なピーリングとは異なり、細胞に直接働きかけてお肌の生まれ変わりを促進し、古い角質を剥がし毛穴詰まりを解消することで、ニキビのできにくいお肌に導きます。

コメドは初め白色をして目立ちにくいですが、酸化することで黒くポツポツとした状態になります。
毛穴詰まりが解消されることで、黒ずんだ毛穴の改善効果にも期待できます。

たるみ毛穴・開き毛穴改善効果

たるみ毛穴は、ハリが低下してお肌がたるむことで、周りの毛穴も引っ張られるように目立っている状態です。
開き毛穴は、皮脂の過剰分泌や乾燥などによってお肌のキメが粗くなることで、毛穴が押し広げられ目立っている状態です。

こうした毛穴を改善するためには、皮脂の過剰分泌を抑えて、お肌にハリや弾力を与えることが大切です。

トレチノインはコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の分泌を促し、お肌にハリと潤いを与えます。
お肌がふっくら潤うため、毛穴もふっくらして引き締まります。
また皮脂の過剰分泌を抑制し、キメを整えて、毛穴の目立ちを改善していきます。

光老化改善効果

光老化は、紫外線の影響によってお肌に老化現象が起こることを言います。
お肌の老化現象のほとんどが、光老化によるものです。

紫外線は、真皮層に到達します。
真皮層の線維芽細胞を攻撃し、コラーゲンなどのハリ成分の生成を低下させます。
また、分解しようとする酵素を過剰に発生させます。
これがシワやたるみに繋がります。

トレチノインは、この酵素を抑制し線維芽細胞の働きを活発にしてコラーゲンやエラスチンの生成を促すため、光老化防止・改善効果にも期待できます。

トレチノインの美白作用

トレチノインを使用することで以下のような症状を改善し、美白に導きます。

  • シミ
  • 目元のクマ
  • 黒ずみ(メラニン毛穴)
  • くすみ
  • 炎症後のニキビ跡

シミ改善効果

シミは、表皮の一番深い基底層に存在するメラノサイトでメラニン色素が生成され、色素沈着を起こすことで生じます。
シミの改善には、何よりも正常なターンオーバーが大切になります。

トレチノインはお肌の細胞を活発にし、お肌の生まれ変わりを促進します。
ターンオーバーのサイクルを整えて、お肌の生まれ変わるスピードを通常28日程度から14程度にまで早めます。
積極的にメラニン色素が排出されるため、シミの改善効果が期待できるのです。

トレチノインが有効なシミは

  • 加齢によるシミ
  • 紫外線によるシミ
  • 肝斑
  • ソバカス

などの表皮にあるシミです。
肝斑や濃いシミの場合は、改善までに少し時間を要する可能性はありますが、ターンオーバーを繰り返し改善していきます。

目元のクマ改善効果

全てのクマに有効的というわけではありませんが、茶クマのように色素沈着が原因のクマには有効的です。
茶クマは、日焼け、目をこすったりメイク汚れをそのままにしておくなど、摩擦や刺激による色素沈着によって生じやすくなります。

トレチノインによって、ターンオーバーを正常にし、細胞を活発にすることでお肌の生まれ変わりを早めて、メラニン色素の排出を促し改善に導きます。
またコラーゲンやヒアルロン酸の分泌促進作用にも期待できるので、ハリのある、明るく若々しい目元を手に入れることができます。

ただし、使用の際は目に入る危険性があるため、注意しましょう。

黒ずみ(メラニン毛穴)改善効果

毛穴の黒ずみの原因の一つに、メラニン色素の沈着があります。
メラニン色素が毛穴の周りに沈着することで、黒ずんで見えるのです。
そのため、メラニン毛穴とも呼ばれます。
鼻やおでこの毛穴によく見られます。

メラニン色素の沈着が原因ですので、毛穴詰まりを解消しても改善されません。
改善のためには、メラニン色素の排出を促すことが大切です。

トレチノインでターンオーバーを促進し、お肌表面までメラニン色素を押し上げて排出を促し黒ずみ毛穴を改善します。

くすみ改善効果

くすみのあるお肌は、暗く見えてしまいます。
透明感のあるお肌を目指すためにも、くすみの改善は大切です。

トレチノインが有効的なのは、色素沈着によるくすみと、乾燥によるくすみです。

色素沈着によるくすみは、トレチノインの作用でターンオーバーを促進し、メラニン色素の排出を促すことで改善していきます。
乾燥によるくすみは、トレチノインの作用でターンオーバーを整えてお肌の生まれ変わりを促進し、古い角質の排出を促すことで改善していきます。

炎症後のニキビ跡改善効果

ニキビの炎症後に、シミのように茶色く残ってしまったニキビ跡には、特に有効的です。
茶色いニキビ跡は、ニキビが炎症することで刺激されたメラノサイトが、メラニンを過剰に生成してそのまま色素沈着してしまった状態です。

メラニンは、通常ターンオーバーによって排出されますが、ニキビができるお肌は健康的でない場合が多く、ターンオーバーも乱れがちになります。
そのため古い角質やメラニン色素の排除がうまくできず、色素沈着を起こしやすくなるのです。

トレチノインでターンオーバーを促進し、お肌が新しく生まれ変わるスピードを早めることで、メラニン色素を積極的にお肌から排除しニキビ跡を改善していきます。

トレチノインの効果を期待できない症状もある

さまざまな美肌・美白効果に期待できるトレチノインですが、何にでも有効的なわけではありません。
トレチノインが有効的なのは、基本的に表皮(お肌の浅い層)で起こるお肌のトラブルです。

シミにおいては色素沈着が表皮ではなく、さらに深部(真皮や脂肪)で起きている場合、トレチノインのみでの改善が難しくなります。
黒いほくろや色素性母斑においては、トレチノインで取ることはできません。
また遅発性太田母斑、太田母斑、老人性ゆうぜい、後天性真皮メラノサイトーシスなどにおいては、他の治療との併用が必要となります。

ニキビによって生じたクレーターについても、軽度であればトレチノインの作用で、クレーター周りのお肌をふっくらさせることで、凸凹を目立たなくする効果が期待できます。
ですが深いクレーターになっている場合、ほとんどが真皮層にまで炎症が及んでいる傾向にあり、トレチノインのみで完全に消すことが難しくなります。

ニキビの炎症が真皮層に広がってしまうと、それ以上の炎症の広がりを抑えようと白血球が活発に働き、お肌の細胞を壊します。
真皮層の細胞は自然な修復が難しく、クレーターとして残ってしまうことがあるのです。
これは表皮とは違い、真皮層では積極的にターンオーバーが行われず、トレチノインも真皮層のターンオーバーにまでは作用しないためです。

深いクレーターの場合は、お肌の奥にアプローチできる美容クリニックでの治療を、ぜひご検討ください。

美容クリニックでおすすめの治療

より美白効果を高めるなら、ハイドロキノンとの併用治療がおすすめです。

ハイドロキノンにも高い美白効果が期待でき、お肌の漂白剤と呼ばれています。
トレチノインとは違うアプローチで、美白に導きます。
トレチノインが、既存のメラニン色素の排出を促し美白に導くのに対し、ハイドロキノンはメラニン色素の生成を阻害し色素沈着を起こさせないようにします。

ハイドロキノン単体では浸透率が高くありませんが、ハイドロキノンとの併用で高い美白効果が期待できます。

徹底的に美白を目指したい方に、おすすめの治療法です。

まとめ

以上、トレチノインの美白・美肌効果についてお伝えしました。
今抱えているお肌トラブルがあれば、トレチノインで解消できるかもしれません!
この機会に、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?

トレチノイン使用時には、トレチノインが有効な症状であるかの見極めが大切です。
当院ではしっかり診察し、鑑別いたします。
ぜひ一度、ご相談ください。

皆様のご来院、心よりお待ちしております!

 

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よくあるご質問

患者様からよくいただく質問をご紹介します。

Q.トレチノインは顔全体に塗っても大丈夫ですか?

トレチノインを顔全体に塗ることはおすすめできません。
トレチノインには副作用として、皮むけや赤みが出るA反応がありますが、塗った部分から反応を起こします。
そのため気になる部分に、薄く塗るようにします。

また目元口元に使用する場合は、目や口ギリギリにならないよう1㎝程離し、まぶたなど目から近い部分には使用しないようにしましょう。

Q.トレチノインはクマにも効果的ですか?

全てのクマに有効的というわけではありませんが、茶クマのように色素沈着が原因のクマには有効的です。
トレチノインによって、ターンオーバーを正常にし、細胞を活発にすることでお肌の生まれ変わりを早めて、メラニン色素の排出を促し、茶クマを改善していきます。

ただし目元ですので、目に入らないように慎重に使用してください。

Q.トレチノインで改善できない症状はありますか?

トレチノインが有効的なのは、基本的に表皮(お肌の浅い層)で起こるお肌のトラブルです。お肌の深い部分で生じる色素沈着や、細胞の修復は難しくなります。
そのため有効的でない症状は少なからずあります。

トレチノインが有効的かどうかは、しっかり見極める必要があります。
当院でもしっかり鑑別を行っておりますので、ぜひご相談ください。

美容外科 美容皮膚科 プライベートスキンクリニック 梅田院
〒530-0002 大阪府
大阪市北区曽根崎新地1-3-16
京富ビル2階

この施術ページの監修医師

医療法人優聖会最高顧問井畑峰紀

糸リフトやフィラー注入によるしわ・たるみ治療や、にきび治療などの美肌治療を中心とした美容医療に携わる、確かな実績を持つ医師。

医療法人優聖会最高顧問 井畑 峰紀

糸リフトやフィラー注入によるしわ・たるみ治療や、にきび治療などの美肌治療を中心とした美容医療に携わる、確かな実績を持つ医師。

所属

平成15年
大阪医科大学 形成外科教室:入局
平成21年
大阪医科大学 助教(准):就任
美容クリニック非常勤勤務:歴任
平成24年
医学博士学位取得
日本形成外科学会 専門医認定
平成25年
某美容クリニック:院長就任
令和5年
プライベートスキンクリニック
最高顧問:就任 現在に至る

略歴

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