イソトレチノインは男性にも効果的?副作用はある?
「何を試してもニキビが繰り返す…」
「重症化したニキビのせいで、自分に自信が持てない」
男性の肌は、女性に比べて皮脂の分泌量が多く、ニキビができやすい傾向にあります。
保険診療の塗り薬や飲み薬を試してもなかなか改善しない・・そんなしつこいニキビの悩みを抱える男性は少なくありません。
そんな方々にとって、最後の切り札とも言われるのが「イソトレチノイン」です。
今回は、重症ニキビや繰り返すニキビに悩む男性に向けて、イソトレチノインの効果や副作用、治療を受ける上での注意点を、医学的なエビデンスを交えながら詳しく解説します。
長年のニキビの悩みを根本から解決したい方は、ぜひ最後までお読みください。
もくじ
イソトレチノインとは
イソトレチノインは、ビタミンA誘導体(レチノイド)に分類される内服薬です。
日本ではまだ厚生労働省の認可を受けていませんが、アメリカのFDA(食品医薬品局)では40年以上も前に承認されており、欧米では重症ニキビ治療の標準的な選択肢として広く用いられています。
イソトレチノインと従来のニキビ治療薬との違い
保険診療で処方される一般的なニキビ治療薬は、主にアクネ菌に対する「抗菌作用」や、毛穴の詰まりを改善する「角質剥離作用」が中心です。
これらは対症療法としては有効なのですが、ニキビの原因となる「皮脂の過剰分泌」そのものに直接アプローチするわけではありません。
そのため、体質によっては治療を止めた途端に再発してしまうケースも少なくありませんでした。
イソトレチノインは、この根本原因である皮脂腺の働き自体を抑えてくれる薬なのです。
イソトレチノインの働き・効果
イソトレチノインには、主に2つの強力な作用があります。
一つ目は、皮脂腺を縮小させて皮脂の分泌を大幅に減らす作用です。
ニキビの主な原因菌であるアクネ菌は皮脂を栄養源としているため、皮脂が減ることでアクネ菌の数も自然と減少します。
二つ目は、皮膚の細胞が異常に角化する(厚くなる)のを正常化させる作用です。
これにより、ニキビの初期段階である毛穴の詰まり(コメド)ができにくくなり、ニキビの再発を長期的に防ぐことが可能になります。
イソトレチノインは男性にも効果的?
皮脂分泌が活発な男性のニキビに対して、イソトレチノインは特に高い効果が期待できます。顔だけでなく、背中や胸元といった体のニキビにも有効で、炎症が強くクレーター状のニキビ跡になりやすいような重症ニキビや、何度も何度も繰り返す難治性ニキビに効果的です。
男性の重症ニキビ・大人ニキビへの効果と臨床報告
イソトレチノインは、男性の難治性ニキビ治療において非常に高い寛解率(症状が落ち着いた状態)を誇ります。
2017年に発表された研究[1]では、重症ニキビ患者にイソトレチノインを投与したところ、90%以上の患者でニキビの数が大幅に減少し、高い改善効果が示されました。
特に、炎症が強く膿を持つようなニキビや、しこりのように硬くなるニキビ(嚢腫性ざ瘡)に対して優れた効果を発揮することが報告されています。
イソトレチノインのビフォーアフター症例(男性)
施術 | イソトレチノインとは、皮脂分泌を抑え毛穴詰まりを解消する作用があり、難治性のニキビに効果を発揮する内服療法です。 |
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料金 | 138,600円(6か月分) |
期間・回数 | 6カ月 |
リスク (副作用) | お肌や粘膜の乾燥症状が見られることがあります。 ごく稀に不眠・倦怠感・吐き気・うつ症状が報告されています。 服用期間中と服用終了1カ月以内の献血提供は行わないでください。 |
※注意事項:治療の結果には個人差があります。
イソトレチノインはいつまで続ける?治療期間と改善までの目安
治療期間は、患者様の体重や症状によっても異なりますが、一般的には4ヶ月から6ヶ月が標準的なクールとなります。
服用を開始して1ヶ月ほどは、一時的に症状が悪化する「好転反応」が見られることがありますが、これは薬が効いている証拠でもあります。
通常は治療を続けることで、早い方で1〜2ヶ月目から徐々にニキビが減っていくことが期待できます。
治療終了後の再発率は、薬の累積投与量に関連することが分かっています[2]。
そのため、一時的にニキビが悪化したからといって自己判断で中断せず、医師の指示通りに最後まで飲み切ることが、再発を防ぐための鍵となります。
【男性向け】イソトレチノイン服用と妊活・避妊への注意点
イソトレチノイン服用中に男性も避妊をしないといけない理由
イソトレチノインには、胎児に深刻な奇形を引き起こす「催奇形性」という強い副作用があります。
女性が服用中に妊娠した場合は、胎児に奇形を生じたり、流産や早産のリスクが上昇します。
男性の場合、服用した薬剤が精液中に移行する量はごく微量であるため、性交渉によってパートナーが妊娠したとしても、胎児に影響が及ぶリスクは医学的に「無視できるレベル」と考えられています。
実際に、男性のイソトレチノイン服用が原因で胎児に奇形が生じたという報告は、現在まで一例もありません。
しかし、理論的には可能性がゼロではないため、男性も避妊をする必要があるのです。
また、パートナーや第三者が誤って薬を服用してしまうことを防ぐ目的もあります。
当クリニックでは、安全を最優先し、服用期間中および服用終了後1~2ヶ月間は、パートナーのいる男性には必ず避妊をお願いしています。
治療後の献血について
イソトレチノインの成分は、服用を中止すれば体から完全に排出されます。
しかし、服用中だけでなく服用後1カ月は献血提供を行わないでください。
これは、万が一にでも妊婦さんに血液が輸血される可能性を無くすためです。
イソトレチノインの副作用
イソトレチノインは非常に効果が高い反面、いくつかの副作用や注意点が存在します。安全に治療を進めるためには、これらのリスクを正しく理解し、医師の指導のもとで服用することが大切です。
皮膚や粘膜の乾燥
最も頻繁に見られる副作用は、皮膚や粘膜の乾燥です。
唇のひび割れ、ドライアイ、鼻血、皮膚のかさつきなどが現れますが、これらは皮脂分泌が抑えられているためで、保湿ケアで十分に対応可能です。
ワセリンやリップクリーム、保湿力の高いボディクリームなどをこまめに使用しましょう。
イソトレチノイン服用中は皮膚が乾燥し、バリア機能が一時的に低下するため、日焼けしやすくなったり、外部からの刺激に敏感になったりすることがあります。治療期間中は、日焼け止めの使用や保湿を徹底することが大切です。
その他の副作用
稀な副作用として、頭痛、倦怠感、筋肉痛などが報告されています。
また、因果関係は明確に証明されていませんが、うつ病などの精神疾患のリスクについても指摘があるため、気分の落ち込みなどが続く場合は速やかに医師に相談してください。
服用中・治療終了後のホルモンや皮膚への影響
イソトレチノインは、男性のホルモンや性機能へ直接的にはほとんど影響しないことが分かっています[3]。
テストステロン値などに変化はなく、性機能や生殖能力への長期的な悪影響も確認されていません。
安全に治療を受けるポイント
イソトレチノイン治療は、医師の厳密な管理下で行われるべき医療行為です。
個人輸入などによる自己判断での服用は絶対に避け、専門的な知識を持つクリニックで治療を受けることが大切です。
血液検査について
イソトレチノインは、稀に肝機能や中性脂肪値に影響を与える可能性があります。
そのため、治療開始前と治療中に定期的な血液検査を行い、体の状態をチェックしながら安全に進めていく必要があります[4]。
血液検査は当クリニックでも行うことができますので、ご相談時にお申しつけください。
個人輸入や自己判断での服用リスク
イソトレチノインの個人輸入や自己判断での服用は、重大な健康リスクを伴います。
偽薬や品質の問題、適切な用量設定ができないこと、副作用への対応ができないことなど、多くの危険性があります。
必ず医師の診断と処方を受け、適切な医療機関での治療を受けることが重要です。
まとめ
最後に、男性がイソトレチノイン治療を始める上で知っておくべき重要なポイントをまとめます。
長年、重症ニキビに悩み、あらゆる治療を試しても改善しなかったという男性にとって、イソトレチノインは高い効果が期待できるニキビ治療薬です。
大阪梅田駅すぐのプライベートスキンクリニックforMENでは、男性のニキビ治療に関する豊富な経験と知識を持つ医師が、皆さんの悩みに真摯に向き合います。
大阪梅田でイソトレチノイン治療をお考えの男性は、治療実績豊富な当クリニックへお気軽にご相談ください。
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よくあるご質問
Q.イソトレチノインは男性でも女性と同じ効果が期待できますか?
A.はい、男性でも女性と同等の効果が期待できます。
むしろ男性は皮脂分泌が多い傾向があるため、皮脂腺縮小効果により顕著な改善が見込める場合があります。
臨床研究でも男性の重症ニキビに対して高い効果が確認されており、顔だけでなく胸や背中のニキビにも効果的です。
Q.治療効果はいつから実感できますか?
A.効果の現れ方には個人差がありますが、早い方ですと治療開始から1~2ヶ月ほどでニキビの減少を実感し始めます。
注意点として、服用開始後1ヶ月頃に一時的にニキビが悪化する「好転反応」が起きることがあります。
これは効果が出始めた兆候ですので、自己判断で服用を中断せず、医師の指示に従い治療を継続することが重要です。
Q.イソトレチノイン服用中にお酒は飲んでも大丈夫ですか?
A.服用中の飲酒は、原則として控えることが望ましいです。
イソトレチノインとアルコールの相互作用は確認されていませんが、イソトレチノインもアルコールも肝臓で分解されるため、併用すると肝臓に大きな負担がかかり、肝機能障害のリスクが高まるためです。
参考文献
[1]Oral isotretinoin in different dose regimens for acne vulgaris: A randomized comparative trial
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22016276/
[2]Blasiak, R. C., Stamey, C. R., & Burkemper, N. M. (2013). High-dose isotretinoin treatment and cumulative dose in acne vulgaris. JAMA dermatology, 149(12), 1394.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24173086/
[3]The effect of systemic isotretinoin on male fertility
Levent Çinar 1, Demet Kartal 1, Can Ergin 2, Huseyin Aksoy 3, Mert Ali Karadag 4, Turgut Aydin 5, Elif Cinar 5, Murat Borlu 1
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26653640/
[4]Lee, Y. H., Scharnitz, T. P., Muscat, J., Chen, A., Gupta-Elera, G., & Kirby, J. S. (2016). Laboratory Monitoring During Isotretinoin Therapy for Acne: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA dermatology, 152(1), 35–44.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26630323/
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この施術ページの監修医師
医療法人優聖会最高顧問井畑 峰紀
糸リフトやフィラー注入によるしわ・たるみ治療や、にきび治療などの美肌治療を中心とした美容医療に携わる、確かな実績を持つ医師。

糸リフトやフィラー注入によるしわ・たるみ治療や、にきび治療などの美肌治療を中心とした美容医療に携わる、確かな実績を持つ医師。
所属
- 平成15年
- 大阪医科大学 形成外科教室:入局
- 平成21年
- 大阪医科大学 助教(准):就任
美容クリニック非常勤勤務:歴任
- 平成24年
- 医学博士学位取得
日本形成外科学会 専門医認定
- 平成25年
- 某美容クリニック:院長就任
- 令和5年
- プライベートスキンクリニック
最高顧問:就任 現在に至る
略歴
- 一般社団法人日本形成外科学会 形成外科専門医
- 特定非営利活動法人日本レーザー医学会 認定医
- 一般社団法人国際抗老化再生医療学会 正会員
- 一般社団法人 日本美容外科学会 JSAPS(Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery) 正会員
- 一般社団法人日本美容皮膚科学会(Japanese Society of Aesthetic Dermatology 正会員
- 一般社団法人日本頭蓋顎顔面外科学会 正会員
- アラガン社 VST(ボトックスビスタ)認定医
- アラガン社 ヒアルロン酸バイクロスシリーズ注入認定医
- Miramar Labs社(ミラドライ開発社)ミラドライ認定医